壺庭(読み)つぼにわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「壺庭」の意味・わかりやすい解説

壺庭
つぼにわ

中庭のことで、今日では「坪庭」の字が多く用いられる。壺には宮中の通り路の意味があり、桐(きり)壺、萩(はぎ)壺、梅壺などのように、キリハギウメなどの植栽が主役になった、建物と建物のジョイント空間を意味した。平安時代からの御所の壺庭は約四、五百坪あって広い空間だが、後の「坪」または「局(つぼ)」は「搾(つぼ)かなる」の意味であり、くぎられた場所とか、周囲を仕切った所をさし、中世以降はごく狭い庭をさすようになった。この狭い限られた空間にも各種の意匠を施すようになり、茶庭と相互に影響しあって、近世以降は町家(まちや)の庭として独自の発展を遂げた。

[重森完途]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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