外国為替決済リスク(読み)がいこくかわせけっさいりすく/へるしゅたっとりすく(その他表記)foreign exchange settlement risk

知恵蔵 「外国為替決済リスク」の解説

外国為替決済リスク

時差による外国為替取引の決済リスク(外国為替取引において、売却通貨を相手銀行に支払った後、相手銀行が支払い不能に陥り、対価である外貨資金を受け取れなくなるリスク)。ヘルシュタット・リスクともいう。近年、BIS(国際決済銀行)が中心となり、個々の金融機関、同業界団体、各国中央銀行に対し、同リスク削減対策を求めている。早くから取られていたリスク削減手法としてネッティング(相殺)があり、これには相対ベースで行うバイラテラル・ネッティングと、3者以上の複数当事者がネッティング機構との間で行うマルチラテラル・ネッティングの2種類がある。米欧の主要民間銀行のグループ(G20)はCLS(Continuous Linked Settlement:二通貨同時決済)のコンセプトを打ち出した。CLS銀行が2002年9月、稼働を開始し、現在米ドル、ユーロ、円をはじめ15通貨を対象に個々の通貨ペアの取引をリンクさせた連続的な決済を行いマルチラテラル・ネッティングを行っているが、外国為替市場の流動性も大きく高まったといわれる。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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