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相殺 そうさいsetoff; Aufrechnung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

相殺
そうさい
setoff; Aufrechnung

債務者が自己の債務と同種債権を,自己の債権者に対して有する場合,その債権 (相殺する側の債権,自働債権) と債務 (相殺される側の債権,受働債権) を対等額で消滅させること。相殺の制度は古くから両当事者の公平のため認められており,その方法としては裁判によってのみ認めるものや,相殺可能な状態 (相殺適状) になれば法律上当然に行われたものとする立法例がある。日本の現行法では,相殺は相殺契約によるか,相手方への一方的意思表示 (単独行為) による (民法 506条1項) 。ただし相殺を行うには双方の債権が相殺適状にあること (505条1項) ,つまり両債権が有効に存在し,ともに弁済期であり,相殺禁止債権,たとえば相殺をしない特約のある場合 (2項) ,内容が相殺できないものや相殺を不適当とする場合 (505条1項但書,509,510,511条,商法 200条2項など) でないことが必要である。相殺は一方的意思表示によって相殺適状になったときにさかのぼって対等額につき効果を生じる (民法 506条2項,なお 512条参照) 。もっとも,相殺契約による相殺は相殺適状にない債権についても許されるが,善意の第三者には対抗できない (505条2項) 。ただし判例は相殺予約に基づく弁済期未到来債権の相殺は受働債権を差押えた者に対抗しうるとしている (最判 1970.6.24.民集 24巻6号 587) 。こうして相殺は債権担保の作用も営んでいる。破産法には相殺について特則がある (98条以下) 。

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デジタル大辞泉の解説

そう‐さい〔サウ‐〕【相殺】

[名](スル)
差し引いて、互いに損得がないようにすること。帳消しにすること。また、長所・利点などが差し引かれてなくなること。「貸し借りを相殺する」「それまでの実績が一度の失敗で相殺される」「それぞれの魅力を相殺し合う」
二人が互いに相手方に対して同種の債権を有する場合、双方の債権を対当額だけ差し引いて消滅させること。

そう‐さつ〔サウ‐〕【相殺】

[名](スル)
殺し合うこと。
そうさい(相殺)

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百科事典マイペディアの解説

相殺【そうさい】

債務者がその債権者に対して同種の債権を有する場合に,その債権と債務とを対当額だけ消滅させること(民法505条以下)。相殺し得るためには,当事者双方が同種の債権を対立させており,両債権が弁済期にあること,債務の性質が相殺を許すこと,当事者の意思表示または法律の規定が相殺を禁止していないこと,が必要。

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

相殺

プラスとマイナスを差し引きして帳尻を合わせること。同じ相手先に売掛と買掛がある場合など、実際の支払行為を行わず、計算上で差し引きして一方からの支払だけにするような行為。

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世界大百科事典 第2版の解説

そうさい【相殺】

AがBに対して10万円の貸金債権をもち,逆にBもAに対して8万円の代金債権をもっているとする。AがBに10万円の返還を請求したときに,BはAに対して8万円の反対債権で対等額について差引きをすると主張すれば,AのBに対する2万円の債権だけが残ることになる。Bは,これだけを支払えば足りる。これを相殺といい,民法上,明文規定で認められている(民法505条以下)。実際の便宜と結果の公平の精神に基づくものである。

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大辞林 第三版の解説

そうさい【相殺】

( 名 ) スル
貸し借り・損得などを互いに消し合ってゼロにすること。
相反するものが互いに影響し合って、その効果などが差し引きされること。
〘法〙 二人が互いに相手方に対して同種の債権をもっている場合に、相互の債権を対当額だけ消滅させること。 〔誤って「そうさつ」とも〕

そうさつ【相殺】

( 名 ) スル
互いに殺し合うこと。 → そうさい(相殺)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

相殺
そうさい

債務者が自己の債権者に対して自分もまた同種の債権(自働債権という)を有する場合に、その債権と債務(債権者の債権、これを受働債権という)とを対等額において消滅させる一方的意思表示(民法505条)。便宜と公平に利するだけでなく、債権担保の作用をも果たす。たとえば、甲銀行が乙に対して100万円の預金債務を有し、逆に乙に対して甲銀行が50万円の貸付金債権を有している場合に、乙が破産しても、甲銀行は乙に対して50万円につき相殺をすれば、損失を免れることができる。相殺をするための要件は、両方の債権が相殺適状にあること、すなわち、同種の目的を有する2個の対立した債権が存在し、それらが弁済期にあることが必要である。ただし、両方の債権は性質上相殺を許さないものであってはならない(たとえば単純な作為債務、不作為債務など)。相殺の禁止がなされていないことも必要である。したがって相殺禁止の特約がある場合(ただし、これは善意の第三者に対抗できない―民法505条2項但書)および法律に禁止規定がある場合(不法行為上の債務の債務者は相殺をもって債権者に対抗できない―同法509条)には相殺できない。[淡路剛久]

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