日本大百科全書(ニッポニカ) 「多来加湾」の意味・わかりやすい解説
多来加湾
たらいかわん
南樺太(からふと)北部東岸、北知床(きたしれとこ)(テルペニヤ)岬と野手戸(のてと)(ソイモノフ)岬との間を占め、南に大きく開ける湾。ロシア連邦ではサハリン州の海域で、ロシア名テルペニヤ湾Залив Терпения/Zaliv Terpeniya。海岸は美しい弧状をなし、出入りに乏しい。北から幌内(ほろない)川が注ぐ。湾奥に砂嘴(さし)によって隔てられた潟湖(せきこ)である多来加湖(ネフスコエ湖、面積180平方キロメートル)を抱く。湾岸周辺は泥炭地および凍土帯となる。第二次世界大戦前には内路(ないろ)、散江(ちりえ)などの漁村があり、沿岸はサケ、マスの漁場となっていた。中心都市は敷香(しくか)であった。
[渡辺一夫]