出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
仏文学者、評論家。東京大学名誉教授、学士院会員。東京生まれ。東京帝国大学仏文科卒業。旧制東京高等学校教授を経て1962年退官まで東大文学部でフランス文学を講じた。ラブレーやエラスムスの翻訳、研究、およびルネサンス・ユマニスム研究に画期的業績をあげる一方、太平洋戦争の前後を通じてユマニスムの根源に分け入ることによって得られた深い学識と透徹した批評眼をもって日本社会のゆがみを批判した。とくに寛容と平和と絶えざる自己検討の必要を説き、狂乱の時代に節操を堅持した知識人として若い世代に深い感銘を与えた。『ラブレー研究序説』『フランス・ユマニスムの成立』『フランス・ルネサンスの人々』『狂気についてなど』『まぼろし雑記』など多数の著書の主要部分は『渡辺一夫著作集』増補版全14巻(1976~77・筑摩書房)に収められている。
[二宮 敬]
『大江健三郎著『日本現代のユマニスト渡辺一夫を読む』(1984・岩波書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ただし距離は縮められたが,本質的な交流がどこまで活発になったか,それは今後考えられるべき問題であろう。 最後に日本におけるフランス文学研究について一言すると,大正期から本格的に始められたこの分野の仕事は,たとえば渡辺一夫のラブレー研究のごとき画期的業績を生むなどしながら年とともに深められ,いまや国際的な評価に十分に耐えられる水準に達している。【菅野 昭正】。…
※「渡辺一夫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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