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漁場 ぎょじょうfishing ground

翻訳|fishing ground

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

漁場
ぎょじょう
fishing ground

魚介類が一定期間群集したり通過するかして,その分布密度が高く,その水域へ行って獲することが経済的に漁業として成立しうる水域。沿岸の浅瀬や大陸棚,島や暗礁のあるところ,寒流暖流の交錯する潮境などが漁場となる。これは,異なった性格の潮流のぶつかり合いや妨害物などによって海水の流れが乱され,水の上下混合がよくなされ,栄養塩類の供給がよく,プランクトン藻類などの餌料浮遊物の繁殖が盛んになるためである。また魚の産卵に適した場所も漁場を形成する。世界的な漁場としては,日本近海,北海,ニューファンドランド近海(→グランド堆ニューイングランド)が有名で,世界三大漁場と呼ばれる。チリ・ペルー沖を含めて世界四大漁場とする場合もある。

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デジタル大辞泉の解説

ぎょ‐じょう〔‐ヂヤウ〕【漁場】

魚などが多くいて、漁業に適した場所。ぎょば。
漁業権が設定される水域。ぎょば。

ぎょ‐ば【漁場】

ぎょじょう(漁場)

りょう‐ば〔レフ‐〕【漁場】

漁をするのに適した場所。ぎょば。ぎょじょう。

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百科事典マイペディアの解説

漁場【ぎょじょう】

魚群が濃密に分布し漁業に適している水域。食物の豊富なこと,産卵に適すること等の条件があげられる。前者は上下に水の混合がよく行われ,プランクトンの繁殖が盛んな所がよく,大規模なものは寒暖流のぶつかる所にあり,そのほか沿岸の浅い所,大陸棚上,島のある所,暗礁や瀬。
→関連項目漁業権漁村

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎょじょう【漁場 fishing ground】

魚族の群れている場所へ行って採捕し,これが“経済的営業たる漁業”として成立し得るような場所〉という定義がある(宇田道隆,1960)が,〈魚族〉はもう少し一般的には,〈魚介類あるいは水産生物〉としたほうがよい。漁場成立の条件には(1)水産生物のある密度以上の存在という自然的条件と,(2)それを採捕して利益をあげることができるという社会経済的条件との二つがあることが理解される。漁業は人の行う社会経済的営為であるから,どんなに多くの魚介類が存在しても,とる技術がなければ漁業は成立しないし,技術があっても,漁獲物が引き合う値段で売れなければやはり漁業は成立しない。

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大辞林 第三版の解説

ぎょじょう【漁場】

魚などが多く集まっていて、漁業に適した水域。ぎょば。

ぎょば【漁場】

りょうば【漁場】

魚・貝などがたくさんとれる場所。ぎょじょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

漁場
ぎょじょう

漁業生産の対象となる水界の動植物が密集している水域で、その捕獲・採取活動が行われる場をいう。また沿岸水域で施設を用いてカキ、ノリ、ワカメなどの動植物の繁殖・生育を管理する区域を養殖漁場という。[高山隆三]

漁場の自然条件

漁場形成の客観的条件は、水界の動植物の繁殖・生育に適した自然環境である。一般的には、魚類その他の生物の生活にとって水温が適温で、栄養分や餌(えさ)に富み、地形や水質などが生育や産卵に適した性質を備えた水域である。魚類等の生育に不可欠な餌が豊富な水域とは、植物プランクトンが多量に繁殖する水域である。植物プランクトンの繁殖には、炭酸化合物と光のほかに、窒素、リン、ケイ素という栄養塩類を必要とする。水界では、この栄養塩類は動植物の死体が分解してできるのであるが、それはほとんどが水底に沈んでおり、太陽光線が届かない深い水底にある場合には、植物プランクトンはその栄養分を利用しえない。したがって植物プランクトンが多量に繁殖する水域というのは、第一に水底まで陽光が透過する沿岸の浅瀬や、水深200メートルまでの大陸棚である。第二に水底の栄養塩類が対流によって水界の表層に運ばれる水域である。この対流は寒帯・亜寒帯水域で大規模におこる。この水域では冬季に気温が大きく低下するので、水面が冷やされ、表面の水の密度が大きくなってそれが沈降する。その結果、対流がおこるのである。第三に暗礁や浅瀬など海底が突起している水域。そこでは底層の栄養塩類に富む海水を表層に湧(わ)き出させる湧昇流(ゆうしょうりゅう)が生ずるのである。第四に暖流と寒流というように、水温や塩分濃度の異なる海水が接してつくる潮境(しおざかい)である。この潮境の水域も、流速の相違なども作用して対流がおこり、栄養分が豊富となるのである。以上あげたような水域には、大量の植物プランクトンとそれを餌とする動物プランクトンや小魚が繁殖し、餌を求める魚類等が集まってくる。こうして形成される漁場が索餌(さくじ)漁場である。
 魚類等は摂餌期を経て、産卵期を迎える。たとえばシロザケは餌の豊富な北洋で3~4年を過ごし、産卵期が近づくと生殖の相手を求めて母川(ぼせん)沿岸に集まってきて、やがて、稚魚の時期を過ごした母川を遡上(そじょう)する。この時期にはシロザケは餌をとらなくなり、ただ、適した産卵床を探し求めるのである。このように生殖の相手を求めながら産卵に適した水域に魚類が密集して形成するのが産卵漁場である。[高山隆三]

漁場の開発

漁場は、以上のような自然的条件を基礎として、それを捕獲・採取する生産活動によって成立する。漁場は漁獲対象の魚種によって、イワシ漁場、サンマ漁場などに分類され、漁具・漁法によって、底引網漁場、釣り漁場、刺網漁場などに、また水域によって、沿岸、沖合、遠洋漁場に分類される。さらに魚種と漁法とを組み合わせて、イワシ巻網漁場、ブリ定置網漁場、サケ・マス流し網漁場、また海域と組み合わせて、北洋サケ・マス漁場、北洋トロール漁場などに分類される。このように、漁場が漁業生産活動の形態と魚種によって分類されるのも、漁場が漁業の技術的、生産力的発展にしたがって歴史的に形成されてきたからである。漁業生産力の発展が、それまで未開拓であった水域の水産資源の漁獲を可能とし、それが漁業経営に大きな収益をもたらしてきた。しかも広大な公海の水産資源はだれの所有にも属さない、自由に漁獲しうる資源であったから、優良な漁場をだれよりも早く発見し漁獲するために、漁業者は漁船の大型化、動力化、網の改良に努め、その結果、今日までに、世界中の水域の主要な漁場のほとんどを開発してきた。しかし、未利用の水産資源の利用方法が開発されれば、今後も新たな漁場が形成されるのである。北部太平洋海域に豊富に生息していたスケトウダラを、船上ですり身に加工する技術が開発されたのは1960年代のことであった。そのとき以降この海域はトロール漁業の優良漁場となったのである。歴史的には、漁場は先進諸国によって開発されてきたから、北半球の漁場開発が進んでおり、世界の三大漁場といわれる北東大西洋漁場、北西大西洋漁場、北西太平洋漁場はいずれも北半球にある。南半球は、ペルー沖合いのイワシ漁場と、南氷洋の鯨漁場以外は、開発の歴史が浅い。[高山隆三]

今日における漁場問題

漁場、魚群の発見には、かつては鳥の群がる状況や海水の色の変化などを手掛りとしていたが、現代では精度の高い魚群探知機が開発され、海洋の性質や海底の地形、魚類等の生態に関する情報量が増し、漁場開発の不確実さが小さくなってきた。わが国では、人工衛星によって海水温・海流などを観測して、その情報を漁船に送信する漁場情報システムも開発されてきている。
 漁場開発と漁獲技術の歴史的発展過程で、国内的にも国際的にも優良漁場の占有・利用をめぐって紛争が生じ、漁場の利用方法を規制する漁業法などの法律が施行され、国際的には漁業条約・漁業協定が結ばれてきた。国際的な優良漁場は、1970年代後半に各国が200海里経済水域を設定したことによって、各国の管轄下に置かれることになり、その利用秩序は大きく変化したのである。他方、わが国の沿岸水域では、とくに第二次世界大戦後の経済発展に伴い、優良漁場の埋立てが進行し、また工場・生活排水によって水質が汚染され、漁業生産力の上昇によって引き起こされてきた乱獲と相まって、沿岸漁場が荒廃してきており、政府・地方自治体の水産行政当局者、地域の漁業協同組合と漁業者は、漁場の保全・回復と人工魚礁などによる漁場の造成に努めている。[高山隆三]
『谷川英一・田村正他著『新編水産学通論』(1977・恒星社厚生閣) ▽川崎健著『魚と環境』(1977・海洋出版)』

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世界大百科事典内の漁場の言及

【漁業】より

…また建網(定置網類)は水中に垣網をたてて回遊魚群をふくろ網に誘導,捕獲する漁網であり,江戸時代に著しく発達したが,これにも漁夫数十人を要する大型漁網が少なくなかった。 これらの漁業の経営を述べるには,まず漁場制度に触れなければならない。漁業は天然に生息する魚介藻類を採取する産業であるから,そのための場である漁場がひじょうに重要である。…

【境】より

…惣村の成立とともに,近江の菅浦荘の例のように惣村の門が設けられるようになる。漁村でも,漁場が次のような境の設定方法によって確立してくる。(1)海中の島や岩などの目標物を境として漁場の範囲を示す場合,(2)水面の面積や陸からの距離の計測による場合,(3)いわゆる〈山アテ〉や〈見通し〉のように陸上の目標物によって境界線を定める場合,(4)海路(うなじ)(沖合を通る航路)を境界線とする場合,(5)湖とか湾の真ん中を境とする場合,の五つの基本的な方法によって漁場の境が決められたようである。…

※「漁場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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