ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大シリア計画」の意味・わかりやすい解説 大シリア計画だいシリアけいかくProject of Greater Syria ヨルダンのアブドゥッラー国王が構想し,推進しようとしたハーシム家中心のアラブ統一運動の一つ。トランスヨルダン,シリア,パレスチナそして最終的にはイラクまでも含む地域を統一しようと目指すもので,1940年代に展開された。この運動は第2次世界大戦の影響でゆるぎはじめた王朝支配の維持,強化というねらいを秘めていた点で保守的な性格のものであり,50年代以降における G.A.ナセルらの民族主義的汎アラブ主義とはまったく異質であった。この地域の政治,経済的支配権の確保をもくろむイギリスの支援や,シリア国民党,人民党などの支持を得たが,他方イギリスと競合関係にあるフランスや,エジプト,サウジアラビアの王朝政権,さらにシリアのバース党などの革新的民族主義勢力などの反対を引起した。結局アブドゥッラーは 51年7月エルサレムで暗殺され,同計画も衰微していった。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by