太阿記(読み)たいあき

改訂新版 世界大百科事典 「太阿記」の意味・わかりやすい解説

太阿記 (たいあき)

江戸時代初期の禅僧沢庵の著。1巻。著作年代は寛永年間(1624-44)とする説もあるが不詳。〈太阿〉とは金鉄や玉石をも自由に切ることのできる名剣をいうが,〈名剣の刃に障るものなきと一般なるが故に,此の妙用の力を太阿の剣とは名づくるなり〉として,悟りを得たものの大きなはたらきをいう妙用(みようゆう)の意にたとえている。兵法・剣術に通達するとはいかなることかをテーマに禅を説き,真実の兵法は言葉で語り伝えたり,人から教えられて習うようなものではなく,まさに教外別伝の法であり,自悟自得せねばならぬ法であるという。剣術の必要を説くところから,《不動智神妙録》と同様に柳生宗矩のために執筆したものかと推測されているが,確証はない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android