不動智神妙録(読み)ふどうちしんみょうろく

精選版 日本国語大辞典 「不動智神妙録」の意味・読み・例文・類語

ふどうちしんみょうろく ‥シンメウロク【不動智神妙録】

江戸初期の仮名法語。一巻。沢庵宗彭(たくあんそうほう)著。寛永一五年(一六三八)頃成立。禅の立場から仏教における心のとらえ方を明らかにし、剣士の心がまえを論じたもの。柳生宗矩(むねのり)のために書かれた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「不動智神妙録」の意味・わかりやすい解説

不動智神妙録
ふどうちしんみょうろく

沢庵(たくあん)(1573―1645)の著。一巻。禅の立場から兵法(剣術)における、とくに勝負に臨む心の持ち方や置きどころについて、いわゆる不動智を中心に解説した心法書。この書はもと将軍への上書で、書名はなく、その成立年代は1636年(寛永13)の9月、沢庵は一夕、家光(いえみつ)に召し出されて、柳生宗矩(やぎゅうむねのり)、鍋島直能(なべしまなおよし)の同席のもと、兵法に関して談じ合ったが、このときの談義につき沢庵の返答という形で一冊にまとめたのがこの書である。宗矩に与えられた1本は、兵法書に簡約・改編されて『不動智』の名で門人に授与された。1779年(安永8)、京都の書林から仮名法語(かなほうご)の一冊として板行され、一般の人々にも愛読された。

[渡邉一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android