奈良原山経塚(読み)ならはらやまきょうづか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「奈良原山経塚」の意味・わかりやすい解説

奈良原山経塚
ならはらやまきょうづか

愛媛県今治(いまばり)市玉川町木地の楢原山山頂に存在する平安後期の経塚。径約7メートル、高さ約1.6メートルの積石塚状マウンドより、敷石の上部に2個の甕(かめ)によって覆われた鋳銅製の宝塔形経筒(きょうづつ)が、和鏡4、刀子(とうす)12、檜扇(ひおうぎ)、合子(ごうす)各1、鈴6、古銭多数を伴って出土した。また、付近より甕で覆われた鋳銅製経筒が和鏡、合子、檜扇、笄(こうがい)各1を伴ってみいだされた。宝塔は、塔身、屋根、相輪(そうりん)よりなっている。塔身前面には法華種子曼荼羅(ほっけしゅじまんだら)、背面中央に大日法身真言、その左右に大日報身真言が線刻されている。この宝塔は、鞍馬(くらま)寺経塚出土宝塔と並んで双璧(そうへき)とされている。これらの出土品は国宝に指定され、今治市玉川近代美術館に保管されている。

[坂詰秀一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排他的経済水域

略称 EEZ。沿岸国が水産資源や海底鉱物資源などについて排他的管轄権を行使しうる水域。領海を越えてこれに接続する区域で,領海基線から 200カイリの範囲をいう。沿岸国は,水中ならびに海底と地下の天然資...

排他的経済水域の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android