日本大百科全書(ニッポニカ) 「奈良原山経塚」の意味・わかりやすい解説
奈良原山経塚
ならはらやまきょうづか
愛媛県今治(いまばり)市玉川町木地の楢原山の山頂に存在する平安後期の経塚。径約7メートル、高さ約1.6メートルの積石塚状マウンドより、敷石の上部に2個の甕(かめ)によって覆われた鋳銅製の宝塔形経筒(きょうづつ)が、和鏡4、刀子(とうす)12、檜扇(ひおうぎ)、合子(ごうす)各1、鈴6、古銭多数を伴って出土した。また、付近より甕で覆われた鋳銅製経筒が和鏡、合子、檜扇、笄(こうがい)各1を伴ってみいだされた。宝塔は、塔身、屋根、相輪(そうりん)よりなっている。塔身前面には法華種子曼荼羅(ほっけしゅじまんだら)、背面中央に大日法身真言、その左右に大日報身真言が線刻されている。この宝塔は、鞍馬(くらま)寺経塚出土宝塔と並んで双璧(そうへき)とされている。これらの出土品は国宝に指定され、今治市玉川近代美術館に保管されている。
[坂詰秀一]