鞍馬(読み)アンバ

デジタル大辞泉 「鞍馬」の意味・読み・例文・類語

あん‐ば【×鞍馬】

くらを置いた馬。くらうま。
(ふつう「あん馬」と書く)体操で、馬の背のような形の台に二つ取っ手をつけた用具。また、これを用いて行う男子体操競技の一種目。

くらま【鞍馬】

京都市左京区の地名鞍馬寺門前町

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精選版 日本国語大辞典 「鞍馬」の意味・読み・例文・類語

くらま【鞍馬】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 京都市左京区中部の地名。鞍馬川に沿う鞍馬寺の門前町。叡山電鉄鞍馬線が通じる。
    2. [ 二 ]くらまやま(鞍馬山)」または「くらまでら(鞍馬寺)」の略。
      1. [初出の実例]「くらまといふところにこもりていみじう行ひをり」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇五)
  2. [ 2 ]くらまいし(鞍馬石)」の略。
    1. [初出の実例]「舩板に渋い好みの潜り門路次は寄石鞍馬(クラマ)の靴脱」(出典:春雨文庫(1876‐82)〈松村春輔〉三)

あん‐ば【鞍馬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (くら)をおいた馬。くらおきうま。くらうま。あんま
    1. [初出の実例]「門前零落して鞍馬まれなりけれは」(出典:春日権現験記絵詞(1309)五)
    2. [その他の文献]〔漢書‐匈奴伝賛〕
  3. 馬の背の形をした台の上に、二つのとっ手をつけた体操用具。また、その上で行なう体操競技。
    1. [初出の実例]「体操の選手が鞍馬の競技で見せるように」(出典:絵合せ(1970)〈庄野潤三〉一六)

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改訂新版 世界大百科事典 「鞍馬」の意味・わかりやすい解説

鞍馬 (くらま)

京都市左京区,鞍馬山麓の鞍馬川沿いにひらけた集落。上賀茂から丹波へ通じる鞍馬街道が通る。平安時代には,鞍馬は鞍馬寺を指す場合が多いが,《枕草子》に〈鞍馬のつづらをりといふ道〉とあるのが,地名として見える鞍馬の早い例である。寛仁年間(1017-21)には,鞍馬寺の敷地や周辺寺領が改めて朝廷より確認されている(《小右記》寛仁3年3月20日条)。またこの地は人里離れた土地であるため,鎌倉時代ころ以降,俊寛の妻子や後白河法皇,西行などの避難・隠棲の地とされた(《平家物語》ほか)。江戸時代には引き続き鞍馬寺領で,鞍馬寺門前あるいは鞍馬村として,正保・元禄・享保の石高帳に193石余の村高が記される(天保郷帳では216石余)。江戸時代の物産として,黒木・薪炭・柴・山椒皮・芝栗・野老(ところ)・燧石(ひうちいし)があげられ(《雍州府志》),黒木・薪炭類は八瀬・大原の女たちと同様に,村の女が頭上に載せて京都へ売り歩いたといわれる。また燧石(火打石)は〈鞍馬の簣下(ふごおろし)〉と呼ばれる独特の方法で販売された(同)。なお名産の木芽(きのめ)漬(アケビ,スイカズラ,マタタビなどの若葉を刻んで混ぜ塩漬にしたもの)は,すでに平安末期の《続詞花和歌集》や《顕註密勘》にも紹介されている。

 鞍馬村は半僧半俗的な要素があり,村人は大惣仲間・宿直仲間など七つの仲間組織を構成し,鞍馬山の竹伐り会(蓮華会)などの行事を執行した(大惣仲間文書)。1806年(文化3)に発生した鞍馬寺火災ののち,再建費用が寺領内農民への重税賦課によってまかなわれるといった事件に端を発して,68年(明治1)には鞍馬寺別当と法師仲間との間に鞍馬騒動が起こっている。1929年鞍馬電鉄(のち京福電鉄鞍馬線。現,叡山電鉄鞍馬線)が通じた。
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普及版 字通 「鞍馬」の読み・字形・画数・意味

【鞍馬】あんば

馬に鞍をおく。〔漢書、匈奴伝賛〕中年、赫然としてを發し、に躬(みづか)ら戎し、親(みづか)ら鞍馬にし、~戰陳をす。

字通「鞍」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鞍馬」の意味・わかりやすい解説

鞍馬
くらま

京都市北東部、左京区の一地区。旧鞍馬村。北山山地に位置し、平地に乏しく、薪炭(しんたん)、木材を産す。鞍馬山(570メートル)の中腹にある鞍馬寺の門前町。老杉に覆われる鞍馬山は鞍馬天狗(てんぐ)や牛若丸修業の地の伝説でも知られる。出町柳から山麓(さんろく)の門前町まで叡山(えいざん)電鉄鞍馬線が通じ、山門から中腹の多宝塔まではケーブルカーがある。本堂から奥の院の魔王堂などを経て、貴船(きぶね)神社へ至る道はハイキングコースとなっている。6月20日の農作物の豊凶を占う竹伐り会式(たけきりえしき)や山麓に近い由岐(ゆき)神社の10月22日の火祭の行事がある。

織田武雄

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百科事典マイペディア 「鞍馬」の意味・わかりやすい解説

鞍馬【くらま】

京都市左京区,京都盆地の北に続く山地の鞍馬川流域一帯。鞍馬山(570m)山腹鞍馬寺,由岐(ゆぎ)神社があり,門前町が発達,叡山電鉄鞍馬線が通じ,西の貴船(きぶね)神社周辺とともに京都郊外の観光地になっている。
→関連項目左京[区]定慶

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鞍馬」の意味・わかりやすい解説

鞍馬
くらま

京都市左京区の一地区。旧村名。 1949年京都市に編入。中心集落の鞍馬は鞍馬寺の門前町で,北方の鞍馬峠を越えて花背から若狭に向う街道の谷口集落でもある。西部の貴船地区には貴船神社があり,渓谷に沿って料亭が並んでいる。叡山電鉄鞍馬線の終点。

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デジタル大辞泉プラス 「鞍馬」の解説

鞍馬

日本海軍の巡洋戦艦(巡洋艦)。鞍馬型巡洋戦艦の1番艦。1912年に巡洋艦から類別変更された戦艦。1907年進水、1911年就役。第一次世界大戦に参加したのち、ワシントン海軍軍縮条約により廃艦が決まり、1923年に除籍、解体。

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