国宝(読み)コクホウ

デジタル大辞泉 「国宝」の意味・読み・例文・類語

こく‐ほう【国宝】

国の宝。
重要文化財のうち、特に文化史的・学術的価値の高いものとして文部科学大臣が指定した建造物・美術工芸品・古文書など。
[類語]宝物財宝財物財貨家宝至宝秘宝

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共同通信ニュース用語解説 「国宝」の解説

国宝

国宝こくほう 日本に古くからある絵や建物などの文化的な財産ざいさんの中で、重要なものが「重要文化財ぶんかざい」に指定される。その中でも特に価値かちの高いものが「国宝」に選ばれる。また工芸や芸能げいのう分野で、特別な能力のうりょくを持つとみとめられた人を「人間国宝」(重要無形文化財保持者ほじしゃ)ともよぶ。

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精選版 日本国語大辞典 「国宝」の意味・読み・例文・類語

こく‐ほう【国宝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 国のたから。国の宝物。
    1. [初出の実例]「僉曰人師、咸称国宝」(出典:続日本紀‐天平一五年(743)正月癸丑)
    2. 「一国民の俚諺は〈略〉国宝の一なりと云ふも過言にはあらじ」(出典:俚諺論(1897)〈大西祝〉一)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐成公二年〕
  3. 日本にある建造物、美術工芸品、文書などのうちで、とくに学術的価値が高いもの、美術的に優秀なもの、文化史的意義の深いものとして、国が指定したもの。古くは古社寺保存法国宝保存法によって指定された。昭和二五年(一九五〇)新たに文化財保護法が公布され、同法に基づいて指定が行なわれることになり、従来の国宝は重要文化財と改称され、その中から国宝が指定される。
    1. [初出の実例]「特別保護建造物及国宝は之を処分し又は差押ふることを得す」(出典:古社寺保存法(明治三〇年)(1897)五条)

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改訂新版 世界大百科事典 「国宝」の意味・わかりやすい解説

国宝 (こくほう)

美術,工芸,書跡・典籍,考古資料,歴史資料,建造物など国が指定する重要文化財のうち,とくに製作がすぐれ,学術的価値が高いもの,かけがえがなく歴史上きわめて意義が深いものを,文部大臣が国宝に指定する。その規準は1950年制定文化財保護法および75年の文化財保護法施行令に定められており,その事務は,はじめ文化財保護委員会が担当したが,68年に文化庁が発足してからはそこが主務している。この法律は文化財の保存と活用を目的としており,国宝を含めて重要文化財は,管理や修理に国の補助を受けることができるが,現状の改変には文化庁長官の許可を必要とし,所有者の変更には届出の義務があるなどの制限がつけられている。文化財保護の法的措置の歴史は古く,1897年の古社寺保存法にはじまり,1929年に国宝保存法の制定をみた。このとき宝物類3705件,建造物845件が国宝に指定されている。また1933年に美術品の海外流出にたいする防止策として重要美術品等の保存に関する法律が定められ,重要美術品の認定は文化財保護法ができるまでつづいた。50年の文化財保護法の制定は,49年の法隆寺金堂壁画の焼失が機縁になっている。これにより,旧国宝は重要文化財に横すべりしたが,そのうち世界文化の見地から価値の高いものをあらためて国宝とするほか,未調査のまま埋もれている文化財について調査を行い,新たに国宝あるいは重要文化財に指定することとした。2008年7月現在,美術・工芸等については1万0283件が重要文化財,そのうち861件が国宝に指定され,建造物については2338件が重要文化財,そのうち214件は国宝に指定されている。
文化財
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国宝」の意味・わかりやすい解説

国宝
こくほう

日本に存する建造物、美術工芸品、文書などの文化財のうち、とくに「国の宝」というべき価値高いものとして選ばれ指定されたもの。古くは古社寺保存法および国宝保存法によって指定されたが、1950年(昭和25)8月、新たに文化財保護法がつくられ、現在はそれに基づいて行われている。これによって従来の旧国宝はいったんすべて重要文化財と改められ、このなかからさらに重要なものを選んで新国宝に指定している。また1950年以後に重要文化財となったものから国宝に格上げされた文化財も多く、すべてをあわせると2019年(令和1)7月時点で1116件に及んでいる。なお、人間国宝というのは重要無形文化財保持者に対する俗称である。

[村重 寧]

『小林行雄・井上靖・児玉幸多他監修『国宝大事典』全5巻(1985~1986・講談社)』『文化庁監修、毎日新聞社図書編集部編『国宝・重要文化財大全』1~12巻・別巻(1997~2000・毎日新聞社)』

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百科事典マイペディア 「国宝」の意味・わかりやすい解説

国宝【こくほう】

重要文化財のうち特にすぐれたものをいい,文化庁の答申に基づいて文部大臣が指定する。1929年の国宝保存法により指定されていた旧国宝は,現在の文化財保護法施行の際重要文化財とされ,そのうち世界文化の見地から価値の高いものをあらためて国宝に指定した。2013年1月現在,国宝の件数は,絵画159,彫刻126,工芸252,書跡・典籍223,古文書60,考古資料45,建造物217,歴史資料3。
→関連項目巧芸画重要美術品

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国宝」の意味・わかりやすい解説

国宝
こくほう

文化財のうち特に優れたものを保護するために与えられた資格。日本では明治4 (1871) 年に古器旧物保全に関する太政官布告が公布されたが効果があがらず,1897年になって古社寺保存法 (明治 30年法律 49号) の制定をみ,初めて国宝の規定がなされ,1929年の国宝保存法 (昭和4年法律 17号) によって社寺以外で所有する文化財にもこの規定が拡大適用された。第2次世界大戦後の 1950年には文化財保護法が制定され,それまで国宝保存法によって指定された 6847件の国宝をいったん重要文化財とし,そのなかからあらためて国宝 181件を新指定した。指定基準は「重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので,たぐいない国民の宝たるもの」とされ,文化審議会の審議を経て文部科学大臣によって指定される。 2003年6月1日現在 1064件が国宝となっている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「国宝」の解説

国宝
こくほう

1950年(昭和25)制定の文化財保護法により,重要文化財のうちとくに価値が高いものとして国が指定した文化財。建造物と美術工芸品からなり,美術工芸品は絵画・彫刻・工芸品・書跡・典籍・古文書・考古資料・歴史資料に分類される。文部科学大臣が指定して文化庁が所管し,その管理・保護・公開などに必要な措置をとることが定められている。また1950年以前には,古社寺保存法・国宝保存法により,有形文化財の価値の高いものを国宝に指定したが,文化財保護法によりそれらは重要文化財と呼称を改め,これを含めた重要文化財のなかから新たに国宝が指定された。文化財保護法によるものを新国宝,それ以前のものを旧国宝として区別することもある。

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普及版 字通 「国宝」の読み・字形・画数・意味

【国宝】こくほう

国の宝。

字通「国」の項目を見る

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