檜扇(読み)ヒオウギ

デジタル大辞泉 「檜扇」の意味・読み・例文・類語

ひ‐おうぎ〔‐あふぎ〕【×檜扇】

ヒノキの細長い薄板を重ね、上端を糸で下端かなめで留めた扇。近世の板の数は、公卿は25枚、殿上人は23枚、女子は39枚。男子のものは白木のままとするが、女子のものは、大翳おおかざし衵扇あこめおうぎともいい、表裏ともに美しく彩色し、親骨に色糸を長く垂らして装飾とした。→
アヤメ科の多年草。本州中部以西の山野自生。剣形の葉が2列に互生し、扇形に広がる。夏、黄赤色で内側に多数の暗紅色斑点をもつ6弁花を開く。実は秋に熟すと裂け、光沢のある黒い種子を現し、うばたま・ぬばたまとよばれる。からすおうぎ 夏》

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百科事典マイペディア 「檜扇」の意味・わかりやすい解説

檜扇【ひおうぎ】

ヒノキの薄板20〜30枚をつづり合わせた板扇平安時代から束帯衣冠などの服飾品として用いられ,(しゃく)の代用ともされた。近世には板数も公卿は25枚,殿上人は23枚と区別された。童子は杉横目の扇に彩絵(いろえ)を施したものを用いた。女子の檜扇は一名衵(あこめ)扇という。
→関連項目衣冠

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世界大百科事典(旧版)内の檜扇の言及

【扇面画】より

…扇絵ともいう。日本の扇は,ヒノキ(檜)の薄板を綴じ合わせた檜扇(ひおうぎ)と,紙を折りたたみ竹の骨をつけた蝙蝠扇(かわほりおうぎ)の2種が平安時代以来用いられた。前者は儀礼用で,実際に涼をとるのに用いられたのは夏扇と呼ばれた後者である。…

【束帯】より

…武家も将軍以下五位以上の者は大儀に際して着装した。束帯の構成は(ほう),半臂(はんぴ),下襲(したがさね),(あこめ),単(ひとえ),表袴(うえのはかま),大口,石帯(せきたい),魚袋(ぎよたい),(くつ),(しやく),檜扇,帖紙(たとう)から成る。束帯や十二単のように一揃いのものを皆具,あるいは物具(もののぐ)といった。…

※「檜扇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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