完徳(読み)かんとく(その他表記)perfectio

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「完徳」の意味・わかりやすい解説

完徳
かんとく
perfectio

カトリック教会用語。完全ともいう。神の完全にならって,人が近づくべき目標としての完全さをさし,信徒の生活の究極目標であると説かれている。その具体的内容は神と教会の掟を守り,諸徳を実践することと考えられることが多いが,新約聖書において完徳にあたるものは,神の子であるキリストの愛と自己放棄の生涯にその弟子として徹底的に従うことにほかならない。これによってキリストの背丈に達する完全な人という『エペソ人への手紙』の言葉 (4・13) も理解される。中世カトリック教会では信徒の完徳を目指す段階を3つ (初心者,進歩者,完徳者) に分け,完徳は修道生活において最もよく達成されるとする考え方が強かったが,宗教改革は修道生活の特殊性と禁欲主義に反対すると同時に,倫理的完全を目指す努力よりも信仰によって義とされた者の自由を強調した。信徒の地上の生活において完徳追求を中心とする立場を完全主義というが,この完全主義において諸徳の実践自体に重きがおかれると,神と人への愛を忘れ,謙遜から遠ざかり,自己中心的になりやすい。

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