日本大百科全書(ニッポニカ) 「宿州」の意味・わかりやすい解説
宿州
しゅくしゅう / スーチョウ
中国、安徽(あんき)省北部、徐州(じょしゅう)の南80キロメートルにある地級市。1市轄区、4県を管轄する(2016年時点)。市政府所在地は埇橋(ようきょう)区(旧、宿県)。人口638万9236(2010)。古代の宿国にあたり、春秋時代には、初め宋(そう)、のち楚(そ)に属した。秦(しん)代に符離(ふり)県が置かれ、漢代は沛(はい)郡、後漢(ごかん)代は沛国、隋(ずい)の統一後は徐州にそれぞれ属した。唐代に宿州の治所となり、元代に県が廃されて宿州に入り、明(みん)代には鳳陽府(ほうようふ)に属した。1912年宿県と改められ、1953年宿城市を併入した。1977年宿県の一部を分離して宿州市が設置され、1992年には宿県と宿州市が合併して新たな宿州市が成立した。
古くから水陸交通の要地で、洪沢湖(こうたくこ)に注ぐ沱河(だが)に臨み、京滬(けいこ)高速鉄道(北京(ペキン)―上海(シャンハイ))、隴海(ろうかい)線などが通じる。麦、コウリャン、大豆、綿花など畑作農業の中心地である。機械、紡績、食品加工などの工場が立地する。
[林 和生・編集部 2017年7月19日]