20世紀日本人名事典 「寿々喜多呂九平」の解説
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
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…日活を離れた牧野省三は,みずから映画会社を興し,1922年,歌舞伎的様式から脱した《実録忠臣蔵》をつくったあと,翌23年,型破りのチャンバラ映画を出現させた。寿々喜多呂九平(すすきだろくへい)脚本,金森万象監督,市川幡谷主演《浮世絵師・紫頭巾》がそれで,画面展開のスピード感,物語の怪奇ロマン的魅力,虚無的な人物像のなまなましさ,そして真剣を用いた立回りの迫真性と,あらゆる点で新鮮さに満ちていた。この作品の大ヒットに続いて,マキノ映画では,沼田紅緑監督《鮮血の手型》《討たるゝ者》や二川文太郎監督《逆流》《江戸怪盗伝・影法師》等々,寿々喜多呂九平脚本の時代劇が連作され,これらに主演した阪東妻三郎は一躍スターになって,〈剣戟(けんげき)王〉とまでいわれた。…
…11世片岡仁左衛門の門下に入り,1923年,マキノ映画に入社。大部屋俳優から主役をつかみ,ニヒリズムと乱闘を魅力とした寿々喜多呂九平(すすきたろくへい)脚本の一連の時代劇《鮮血の手型》(1923),《討たるゝ者》《逆流》(ともに1924),《江戸怪賊伝・影法師》《墓石が鼾する頃》《異人娘と武士》《雄呂血》(ともに1925)等々で人気を博して,剣戟王・阪妻の異名を取り,〈目玉の松ちゃん〉こと尾上松之助の1人斬るごとに見得を切る〈旧劇〉の古めかしさを脱して,ダイナミックな剣戟を生かした新しいチャンバラ映画の全盛時代をつくった。 26年,スター・プロのはしりとなった阪東妻三郎プロダクション(阪妻プロ)を設立,時代劇の阪妻王国をつくるが,トーキーに入ってからは,その口跡の悪さもあって低迷する。…
… 横田商会,日活をへて,21年に独立して〈牧野教育映画撮影所〉(1925年には〈マキノ・プロダクション〉)を設立。直木三十五を〈食客〉として遇し,門下から,シナリオライターとして,寿々喜多呂九平(すすきたろくへい),山上伊太郎,監督として息子のマキノ正博(戦後マキノ雅弘と改名,現在はマキノ雅裕),金森万象,衣笠貞之助,中島宝三,沼田紅緑,井上金太郎,松田定次,久保為義,滝沢英輔,並木鏡太郎(山中貞雄や中川信夫もその助監督として働いており,内田吐夢,二川文太郎も世話になったことがある),それに俳優として,先の尾上松之助をはじめ,阪東妻三郎,市川右太衛門,嵐長三郎(のちの寛寿郎),片岡千恵蔵,沢村国太郎らの男優(いずれも時代劇スターとして一世をふうび),娘のマキノ輝子(のちのマキノ智子),森静子,岡島艶子,鈴木澄子,松浦築枝,大林梅子らの女優をスターとして育て,世に出している。 牧野の家系そのものも日本映画史の一つの流れをつくっているといってもよく,省三の子には,先にあげたマキノ智子(1907‐84。…
※「寿々喜多呂九平」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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