影法師(読み)カゲボウシ

デジタル大辞泉 「影法師」の意味・読み・例文・類語

かげ‐ぼうし〔‐ボフシ〕【影法師】

光が当たって、障子地上などに映る人の影。
影絵1」に同じ。
[類語]シルエット陰影投影暗影人影射影斜影倒影シャドー

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精選版 日本国語大辞典 「影法師」の意味・読み・例文・類語

かげ‐ぼうし‥ボフシ【影法師】

  1. 〘 名詞 〙 ( 影を擬人化したいい方 )
  2. かげえ(影絵)
  3. 光をさえぎったため、地上や障子、壁などにその人の形が黒く映ったもの。かげぼう。かげぼし。かげんぼし。
    1. [初出の実例]「影法師見苦しければ辻相撲月をうしろになしてねるかな」(出典:七十一番職人歌合(1500頃か)六三番)
  4. 鏡や水などに映った像。
    1. [初出の実例]「水鏡を見てあれば、影法師が我があいてになって、いつもかわらずけらけら咲をして戯るるぞ」(出典:四河入海(17C前)二)
  5. ( 影の人の意 ) 演劇や映画などで、ある人物の替え玉となる人。吹き替え。スタンドイン。
    1. [初出の実例]「ハテナ、わしゃ、かげぼうしかとおもった」(出典:咄本・出頬題(1773)芝居)
  6. 想像によって目の前に描き出す、人物や物事。
    1. [初出の実例]「皆此方の影ぼうしを相手にして、けんくゎする様なものぢゃ」(出典:松翁道話(1814‐46)一)

かげ‐ぼし【影法師】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かげぼうし」の変化した語 ) =かげぼうし(影法師)
    1. [初出の実例]「かげぼしなどの、朝夕馴れつかうまつる」(出典:今鏡(1170)八)

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「影法師」の解説

影法師
かげぼうし

歌舞伎浄瑠璃外題
初演
明治23.7(東京市村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「影法師」の解説

影法師

池波正太郎の時代小説短編集。1977年刊行。「鬼平犯科帳」シリーズ。

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世界大百科事典(旧版)内の影法師の言及

【影】より

…もっとも,〈かげ〉をずばり死霊・怨霊の意に用いている例も多く,関東地方の民間説話〈影取の池〉などは,ある女が子どもを殺されて投身自殺した池のそばを,なにも知らずに通行する人の影が水に映るやいなや,池の主にとられて死ぬので,とうとうその女を神にまつったという。同じ〈かげ〉でも,〈影法師〉となると,からっとして明るく,もはや霊魂世界とすら関係を持たない。この場合の〈かげ〉は,たとえば《市井雑談集》に,見越入道の出現と思って肝をつぶした著者にむかい,道心坊が〈此の所は昼過ぎ日の映ずる時,暫しの間向ひを通る人を見れば先刻の如く大に見ゆる事あり是れは影法師也,初めて見たる者は驚く也と語る〉と説明したと記載されてあるとおり,むしろ,ユーモラスな物理学現象としてとらえられる。…

【ドッペルゲンガー】より

…ある人と瓜二つの人のこと。ドイツ語圏の〈ドッペルゲンガー(二重身)〉のほか,英米圏では〈ダブルdouble〉,中国では〈離魂〉または〈離魂病〉,日本では〈分身〉〈影法師〉〈影の病〉〈影の煩い〉などの名で,神話,伝説,迷信などに古くから登場し,霊魂が肉体から分離して有形化したものとか,二重身の出現はその人物の死の前兆などと信じられた。たとえば,中国には次のような話がある。…

【時代劇映画】より

…寿々喜多呂九平(すすきだろくへい)脚本,金森万象監督,市川幡谷主演《浮世絵師・紫頭巾》がそれで,画面展開のスピード感,物語の怪奇ロマン的魅力,虚無的な人物像のなまなましさ,そして真剣を用いた立回りの迫真性と,あらゆる点で新鮮さに満ちていた。この作品の大ヒットに続いて,マキノ映画では,沼田紅緑監督《鮮血の手型》《討たるゝ者》や二川文太郎監督《逆流》《江戸怪盗伝・影法師》等々,寿々喜多呂九平脚本の時代劇が連作され,これらに主演した阪東妻三郎は一躍スターになって,〈剣戟(けんげき)王〉とまでいわれた。そして,阪東妻三郎は独立し,寿々喜多・二川コンビと組んで,浪人の抵抗と反逆の心をすさまじい乱闘シーンで爆発させた《雄呂血(おろち)》(1925)をつくった。…

【白鳥の歌】より

…最初の13曲については,シューベルト自身も連作歌曲集を意図していた。壮絶な第13曲《影法師Der Doppelgänger》は,その独自の抒情詩的劇唱によって特に有名である。【谷村 晃】。…

※「影法師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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