日本大百科全書(ニッポニカ) 「居座機」の意味・わかりやすい解説
居座機
いざりばた
座機(ざばた)、下機(しもばた)、神代機(じんだいばた)ともいわれ、日本および朝鮮半島で古くから使用されてきた手織機の一種。5世紀ごろ、中国から機織(きしょく)技術が伝わったとき導入された織機で、弥生(やよい)時代の原始機に、機台が付属したものである。「居座(いざ)る」とは、機織に際し織り進めるにしたがって、座る位置を少しずつ前進させることからきている。構造は、経糸(たていと)を中筒(なかづつ)で一方に片口開口(かいこう)してあるので、足縄をひいて機躡(まねき)を上げ、片綜絖(そうこう)によって反対の開口をし、緯糸(よこいと)を入れて大杼(ひ)で緯打ちをし、さらに筬(おさ)によって打ち込む。機の形式は東日本(垂直型)と西日本(傾斜型)に分けられ、中部地方を境に形式が異なっている。現在では、結城紬(ゆうきつむぎ)、小千谷縮(おぢやちぢみ)(越後上布(えちごじょうふ))などや、各地の伝承織物に、わずかに使われるにすぎない。
[角山幸洋]