工尺譜(読み)こうしゃくふ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「工尺譜」の意味・わかりやすい解説

工尺譜
こうしゃくふ

中国の記譜法。七声 (しちせい) ,十二律の文字譜を簡略化する目的で,吹奏楽器の手法を利用して宋代に考案されたもので,最古記述は北宋沈括の『夢溪筆談』にみえる。合四一上勾尺工凡六五の文字を用いて音高を表わすが,絶対音高ではない。合四一上尺工凡はそれぞれドレミファソラシに相当,合四一の1オクターブ上は六五乙で示す。おもに俗楽に使用。朝鮮でも『世祖実録』の新制雅楽譜などに用いられ,日本に伝えられた明清楽や,沖縄の三線なども工尺譜またはこれに準じる記譜で記されている。

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世界大百科事典(旧版)内の工尺譜の言及

【中国音楽】より

…これら多種の楽器により,大規模で個性豊かな歌舞が盛んであったが,同時に独唱,独奏も大曲と同じく転調,移調などに妙をみせ,詩や逸話ものこっているほど流行した。唐代には,近世の記譜法の中心となる,管楽器の孔名に由来する音高譜〈工尺譜〉と,文章譜から改良された琴の手法譜〈減字譜〉が登場した。このように,歌舞楽曲以外に,楽理,楽曲,楽譜など優れた水準にあって,日本などにも影響を与えた唐朝音楽も,みずから羯鼓を打ち指揮をとった玄宗の後は,急速に落(ちようらく)し,音楽の主要な場は民間に移った。…

【中国音楽】より

…これら多種の楽器により,大規模で個性豊かな歌舞が盛んであったが,同時に独唱,独奏も大曲と同じく転調,移調などに妙をみせ,詩や逸話ものこっているほど流行した。唐代には,近世の記譜法の中心となる,管楽器の孔名に由来する音高譜〈工尺譜〉と,文章譜から改良された琴の手法譜〈減字譜〉が登場した。このように,歌舞楽曲以外に,楽理,楽曲,楽譜など優れた水準にあって,日本などにも影響を与えた唐朝音楽も,みずから羯鼓を打ち指揮をとった玄宗の後は,急速に落(ちようらく)し,音楽の主要な場は民間に移った。…

※「工尺譜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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