精選版 日本国語大辞典「相当」の解説
そう‐とう サウタウ【相当】
[1] 〘名〙 (形動)
① (━する) 資格、性質、時期、数量などが合致すること。対応すること。また、そのさま。
※拾玉得花(1428)「四気おりおり、日夜・朝暮、貴賤群集の他少、広座・少座の当気によりて、芸人(げいじん)の時機音、時の調子の五音、相当せずは、当気和合あるべからず」 〔周礼注‐天官〕
② (━する) ある物事の程度や状態が、他とつりあうこと。ふさわしいこと。また、そのさま。相応。
※史記抄(1477)三「臏辟は五百三十三率ではあるまいぞ。三百率が相当ぢゃぞ」
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三幕「俺が内に居れば、家賃から米代木代、そうとうに銭をやらにゃ掛ける者がない」 〔漢書‐武帝紀注〕
③ 程度・度合がかなりであること。はなはだしいこと。また、そのさま。
※土(1910)〈長塚節〉一四「各自の労を劬ふ為に相当な饗応が行はれる」
※冬の宿(1936)〈阿部知二〉三「相当に立派な机や椅子が運び込まれて」
[2] 〘副〙 ものごとの程度が普通よりはなはだしい様子を表わす語。かなり。随分。
※渦巻ける烏の群(1928)〈黒島伝治〉四「古いが、もとは相当ものが良かったらしい外套」
※糞尿譚(1937)〈火野葦平〉「相当飲んで居ったので」
あい‐とう あひタウ【相当】
〘名〙
① いっしょに当番になること。また、その人。当番相手。当番仲間。
※虎明本狂言・連歌盗人(室町末‐近世初)「身共一人にてもござらぬ、あひとうが御ざる程に、あれへまいって談合いたさうと存る」
② 相当分。見合う分。
※菅浦文書‐嘉元三年(1305)二月一二日・菅浦村人等連署借状「彼用途仁相当程可レ被レ取二見合高質物一者也」
③ 相手になること。
※朽木文書‐(天文一二年)(1543)一〇月一六日・六角定頼書状「即追其内一人搦取之処、為二相当一、其方領内商人田中方へ召籠段、言語道断次第候」
あい‐あた・る あひ‥【相当】
〘自ラ四〙 (「あい」は接頭語)
① (「あたる」の改まった言い方) 相当する。あてはまる。釣り合う。
※愚管抄(1220)七「すたれはてて又おこるべき時にあいあたりたり」
② 割り当てられる。担当する。また、その職にあたる。
※高野山文書‐(建長五年)(1253)七月五日・東寺長者道乗御教書案「相二当御寺務一之折節」
③ 互いにぶつかりあう。敵と戦う。当面する。
※太平記(14C後)四「呉王自ら相当る事三十二箇度」
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