中国,日本の音楽理論用語。宮・商・角・徴(ち)・羽の五声に変徴,変宮の2声を加えたもので,7音音階を意味する。角を三分損一して変宮を求め,変宮から三分益一により変徴を求める(三分損益)。音高を低い方から高い方へ順に並べて宮・商・角・変徴・徴・羽・変宮・宮とする。変徴は徴より約半音低く,変宮は宮より約半音低い。
中国における七声の起源は,《国語》(前5世紀)の七律,《左氏伝》《呂氏春秋》(前3世紀)の七声にさかのぼる。《淮南子(えなんじ)》(前2世紀)では変徴を繆(びゆう),変宮を和と称するが,《後漢書》律暦志では変徴,変宮を加えた七声を記している。しかし湖北省随県の曾侯乙墓(戦国初期)から1978年に発掘された64個の鐘(しよう)と32個の磬(けい)に刻まれた七声・十二律の名称から,古くは後世の七声名のほかに多数の名称があったこと,および七声が実用されたことも明らかになった。雅楽では五声を正声と称して重視したが,俗楽は七声も用い,六朝時代後半に西域楽の影響を受けた俗楽,胡楽では七声は頻繁に用いられた。亀茲の蘇祇婆(そぎば)が北周代に伝えたインド系の七調は七声組織に基づくと考えられ,それを理論的に発展させたものが隋の鄭訳の八十四調であり,唐の俗楽二十八調はこれを整理したものである。七均(7組の7音音階)上にある宮・商・角・羽をそれぞれ調首とするものが二十八調であって,後世の俗楽に大きく影響したが,近世の中国の調では五声が用いられることが多い。
→五声
日本には奈良時代に七声の名称と理論が中国から伝えられ,雅楽や声明の呂旋(りよせん)に中国の七声の名称がそのまま用いられている。しかし,調によっては変徴・変宮は徴・宮より1音低い場合もある。律旋では嬰商(えいしよう)・嬰羽の独自の名称を用い五声に加え宮・商・嬰商・角・徴・羽・嬰羽の七声とする。嬰商・嬰羽は商・羽より約半音高い。しかし実際の日本音楽では,7音音階は雅楽に用いられるほかは,ほとんどの音楽が5音音階によっているために,嬰商・嬰羽の名称は用いられても商・羽と並んで七声を構成することは少ない。
→音階
執筆者:三谷 陽子
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…そのため,前者を呂角,後者を律角ということがある。五音や,これに変徴,変宮の二つを加えた七声の概念は,雅楽や声明(しようみよう)の理論として中国から伝えられたものだが,音楽が日本化するとともに理論の修正も行われて,律の調子において嬰商,嬰羽の二つを加えるなどのことも行われた。さらには,日本固有の各種の音楽も,五音や七声の理論で説明された時期があったが,近年はごく限定的に用いるのみとなった。…
※「七声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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