腫瘍の顕微鏡の所見や、腫瘍細胞に発現している蛋白質が、
かつては、手足などに発生した肉腫がこの病気と診断される頻度はあまり多くありませんでした。しかし、最近では検査法が発達したことと疾患概念の見直しがあったことで、悪性線維性組織球腫などほかの肉腫と診断されていた症例の多くがこの病気であったことがわかっています。
複雑な遺伝子の異常が発生に関係していると考えられていますが、いまだ研究途上です。
後腹膜腔に発生する場合は、自覚症状を認めにくく、多くは肉腫が大きくなってから発見されます。血管に発生し血管が閉塞した場合は、閉塞した部位によって、たとえば肝臓のはれ、
病気が進行すると肺や肝臓に転移(病気が最初に発生した部位から、悪性の細胞が血液やリンパ液の流れにのってほかの臓器に移ること)を起こします。
MRIなどで詳しい画像検査を行うと、発生した詳細な場所がわかります。血管に発生した場合は、造影剤を血管に注入して血管の状態を確認します。最終的には、顕微鏡で実際に腫瘍組織を観察することで確定診断をつけます。
放置しておくと急激に大きくなるとともに、体のほかの部分に転移し、生命を脅かします。転移は肺に起こりやすいのですが、原発した部位によっては肝臓や骨、皮膚にも転移します。
治療法の基本は手術で、周囲の正常な組織を含めて腫瘍を切除します。治療成績が一番よいのは四肢で、血管、後腹膜の順に治療が難しくなります。
放射線療法単独での治療効果は認められていませんが、腫瘍がほかの重要な臓器のそばに発生したため、手術で全体を取り切ることが難しい場合などに補助的に使用する施設があります。
また、抗がん薬の投与も効果は不明です。抗がん薬は、腫瘍など細胞分裂の速い組織に作用して効果を発揮します。そこで、顕微鏡での検査で細胞の分裂像が多い症例や、肺などに転移がある場合などに、抗がん薬を使用する場合があります。
がんセンターや大学病院などの専門的な施設での治療が必要です。
森井 健司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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