改訂新版 世界大百科事典 「建国会」の意味・わかりやすい解説
建国会 (けんこくかい)
赤尾敏を中心とする右翼団体。1925年ころ,社会主義的方向から〈皇室中心の国家主義運動〉へと転じた赤尾は,左翼のメーデーに対抗して,建国祭挙行の必要を各方面に説き,26年2月11日,第1回建国祭を挙行した。と同時に赤尾はそれとは別に建国会を創立した(会長上杉慎吉,顧問頭山満・平沼騏一郎ら,理事長赤尾,書記長津久井竜雄)。その後,赤尾らの反ソ・反共の過激な直接行動への不満から,上杉をはじめ有力者が脱会し,赤尾の個人的団体の色彩を濃くした。29年には津久井らも脱会。この結果,同会は国家社会主義的傾向を弱め,反共一点ばりの運動を展開することになると同時に,会勢も衰退の傾向をたどる。38年以降,同会は,日独伊三国同盟,反英運動,翼賛運動,日ソ中立条約などに批判的な独自の立場をとった。言論出版集会結社等取締法にもとづき,42年5月,政治結社を思想結社に改組,7月には大日本皇道会と改称した。終戦後,会は解散させられた。
執筆者:須崎 慎一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報