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フランス革命時代の国民議会で革命の急進化を主張する一派が議長席から見て左に位置していたことに由来する言葉で,一般に,改革や革命のような政治的志向をする政治勢力や人物のことを指す。具体的に何が〈左翼〉とみなされるかは,その時の政治勢力の位置関係と,対抗概念である〈右翼〉が何を指すかによって決まるといってよい。革命運動や労働運動の内部においても,左派と称されるグループが存在し,また保守派の内部にも左派が存在する。また資本主義の国家では,共産主義や社会主義を主張する政治勢力が左派と称される。伝統的な権威主義的支配が行われているところでは,自由主義や民主主義を要求する者も左翼を構成する。いずれも,一定の場で相対的に急進的な勢力,現状の変革を求める者が左翼と呼ばれている。また,極端な民族主義を唱える者が〈右翼〉と称される関係で,国際主義が左翼の特質とされる場合がある。
→右翼
執筆者:坂本 多加雄
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(山口二郎 北海道大学教授 / 2007年)
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対立概念の右翼と同様、元来、相対的意味しかもたず、その時の政治状況や右翼が何をさすかで決まる。一般に、急進的、革新的、社会主義的、無政府主義的、共産主義的集団ないし人物を意味する。1792年のフランス国民議会で、議長席からみて左側が急進派(ジャコバン派)、中央に中間派、右側に穏健派(ジロンド派)が議席を占めていたことに由来する。世界中で共通に用いられており、わが国では大正中期から翻訳語として(左傾、左派、左党ともいわれた)使われたという。議会内の政党についても、政党内の思想傾向についても、一般に国内外の体制に対する政治態度についても用いられる。1956年の「スターリン批判」以降、共産主義政党に代表される「伝統左翼」「旧左翼」に対し、「新左翼(ニュー・レフト)」という呼称も用いられた。
[加藤哲郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
フランス革命の国民議会で,革命の急進化を志向する一派が議長席からみて左に位置したところから,一般に革命や改革を望む政治勢力や人物をさして用いられるようになった言葉。右翼と同じく相対的な用語であり,歴史的経過や社会状況によって,その意味する内容には大きな差異が認められる。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…左が野党や革新勢力を意味するようになった起源は,1789年に設置されたフランス国民議会にあり,このとき貴族は議長席から見て右側に,平民は左側に席を占め,急進派のジャコバン・クラブなどがそこに含まれていた。この形式が各国の議会でも踏襲され,左翼は野党,その中でも最も左側に急進派が座るようになった。またある時期にはヨーロッパでは共産党が左端に席を連ねたので,マルクス主義者などを〈極左〉と呼んだこともある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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