張謇(読み)ちょうけん(英語表記)Zhāng Jiǎn

改訂新版 世界大百科事典 「張謇」の意味・わかりやすい解説

張謇 (ちょうけん)
Zhāng Jiǎn
生没年:1853-1926

中国の実業家,政治家。江蘇省南通の人。字は季直。光緒20年(1894)の進士,翰林院修撰として,日清戦争に対する李鴻章の妥協策を弾劾した。のち実業振興を志して,官途を断念し,大通に紡績工場を経営,その他,干拓汽船鉄工等の企業を経営し,民族資本上層部の代表的人物,江南実業界の大立者となる。師範学校等各種の学校,図書館,博物館の設立等,文化教育事業にも活躍し,中央教育会会長になったことがある。政治的には立憲君主制を主張し,清末の立憲運動を指導し,国内の立憲派の中心人物となり,江蘇諮議局議長となった。袁世凱とは古い友人で,辛亥革命に際しては革命政権の実業相に任命されたが赴任せず,袁世凱の政権獲得に尽力,宣統帝の退位詔書をも起草した。民国以後も,農林,商工等の閣僚歴任,袁世凱の帝制運動時以降,故郷で事業に専念した。著書に《張季子九録》がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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