最新 地学事典 「微古生物学」の解説
びこせいぶつがく
微古生物学
micropaleontology
微化石を対象とする古生物学の一大分野。少量の試料から多数の種類・個体が産出することが多いので,古環境解析や化石分帯を通しての時代判定などの応用面で重要視されている。分類学的には,19世紀末までに詳細な観察により基礎が築かれた(例:有孔虫ではd’OrbignyやBradyなど。放散虫ではHaeckel)が,1970年代から走査型電子顕微鏡が汎用されて一段と発展。応用面では1930年代からの油田開発に触発され,計算機の発達とともに発展中。50年代後半以来ほぼ確立された浮遊性有孔虫による分帯は,深海掘削計画でも応用されている。同計画は珪藻,石灰質ナンノ化石,放散虫などの浮遊性微化石による分帯の精度向上につながった。地磁気層序や放射年代などとの対比によって,それら化石帯の絶対年代値も決定。現世および過去の環境解析に関しては,群集組成の多変数解析に加え,殻の安定酸素・炭素同位体比,カドミウム・マグネシウム・鉄・その他の化学成分などの分析を通して精度が向上。花粉分析も過去の植生の復元に役立つが,時代をさかのぼるにつれて花粉・胞子をもたらした種物種の判定が難しくなるために精度が低下。
執筆者:氏家 宏
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

