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花粉 かふんpollen

翻訳|pollen

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

花粉
かふん
pollen

種子植物の雄の配偶体にあたる。の中で花粉母細胞減数分裂を行なって生じた小胞子が花粉であり,これが成熟し外膜内膜を生じて花粉粒となる。花粉粒は形はいろいろで,通常径 25~100μm で,他の動物に付着したり,風や水の力によったりしてめしべ柱頭に運ばれる。内膜は受粉後,めしべ柱頭の内部へと伸長して花粉管となるが,この際核は花粉管核と生殖核とに分化する。古い地層中の花粉を分析して,その時代の植物種の分布状況や気候状況を推定する花粉分析の技法も発達してきている。

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百科事典マイペディアの解説

花粉【かふん】

種子植物の生殖に関与する雄性細胞で,(やく)でつくられる。大きさは普通40μm内外。円,楕円三角形などの形があり,色も多様。表面の花粉外膜は肥厚し,粒状網状,とげ状等の模様となり,肥厚の少ない所は花粉管の発芽口となる。

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栄養・生化学辞典の解説

花粉

 種子植物の雄性の配偶体.

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世界大百科事典 第2版の解説

かふん【花粉 pollen】

顕花植物の花のおしべにある葯(やく)と呼ばれる袋の中でつくられる顆粒(かりゆう)のことで,その中の細胞は分裂して未熟な雄性配偶体になっている。雄性配偶体はめしべの中で成熟して精子または精細胞をつくる。厚くて丈夫な花粉の外膜は,雄性配偶体を乾燥から保護し,受精のために花粉がめしべまで安全に運ばれる上で重要な役割を果たしている。花粉の運ばれ方(送粉方法)には風による風媒,昆虫や他の動物による虫媒・動物媒,水による水媒がある。

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大辞林 第三版の解説

かふん【花粉】

種子植物の雄性配偶体。雄しべの葯やくの中で減数分裂によって作られる半数性の単細胞。直接または風・虫・鳥などによって雌しべの柱頭に運ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

花粉
かふん

種子植物における雄性の配偶体のことで、花粉粒とほぼ同じ意味に用いられる。発生の仕組みからみると、まず、小胞子母細胞(花粉母細胞)が小胞子嚢(のう)(花粉嚢または葯室(やくしつ))の中で減数分裂を行い、それぞれ4個の小胞子(花粉4分子)をつくるが、普通それはさらに分裂して2~4個の細胞となり、肥厚・分化した花粉壁に包まれたまま、多少とも休眠の状態となる。こうした時期に小胞子嚢から出て、胚珠(はいしゅ)、または雌しべの柱頭へ、風や水、または昆虫、鳥、コウモリなどのような動物に付着することによって運ばれる(移動できる)状態になった発芽中の小胞子を花粉とよぶ。したがって、発生段階からみると、花粉にはいろいろなタイプがあり、花粉という概念も、発生学的よりも生態学的なとらえ方といえる。
 裸子植物の場合、小胞子は栄養細胞(前葉体細胞)を分出したのち、花粉管細胞と雄原細胞に分かれ、ついで雄原細胞は柄(へい)細胞と中心細胞になり、さらに中心細胞から2個の精細胞(ソテツやイチョウでは動性の精子)ができる。普通、裸子植物では、花粉管細胞と雄原細胞が生じて、2~4個の細胞に分かれた段階で花粉になることが多い。しかし、ヒノキ科のように一細胞性の花粉もあれば、ナンヨウスギ属Araucariaのように、栄養細胞に由来する40にも達する核をもつ花粉もある。
 被子植物の場合は、小胞子が花粉管細胞と雄原細胞に分裂し、さらに雄原細胞が2個の精細胞に分裂するのが一般的であるが、花粉には二細胞性のものと三細胞性のものとがある。
 普通、花粉は1個の小胞子細胞から4個つくられるが、カヤツリグサ科などでは生殖機能をもった花粉は1個しかできない。またツツジ科などでは、4個の小胞子は接着したまま分離しないし、トウワタ科、ラン科などでは、さらに多くのものが接着して花粉塊polliniumをつくる。
 花粉の形、大きさはさまざまである。外形は球状や楕円(だえん)状のものが多いが、扁平(へんぺい)、多角形、棒状のものもある。また大きさは径25~100ナノメートルのものが普通である。花粉の表面にはいろいろな模様がみられる。この模様が彫刻されるのは、花粉壁の外壁(スポロポレニンを多く含んで化学的に安定した部分)の外層の部分である。また、外壁には膜が薄くなっていて、そこから花粉管が伸長して出る発芽装置がある。発芽装置にはいくつかの型が認められるが、これは系統分類学的形質として重要視されるもので、裸子植物一般にみられる1個の細長い発芽装置をもった一溝性花粉は、もっとも原始的とみなされている。
 こうした花粉の形、大きさ、表面模様の多様性や発芽装置の型は、他の研究のうえでも、たいせつな要素となる。たとえば、昆虫の体についている花粉によって、その昆虫が訪れた植物の種を知ることができるし、堆積物(たいせきぶつ)中の花粉分析によって、第四紀における植生の遷移を知ることができるなどである。[田村道夫]

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世界大百科事典内の花粉の言及

【花粉分析】より

…地層中に埋もれた過去の植物の花粉pollenおよび胞子sporeをとり出し,それらを識別・鑑定するとともに,そのおのおのの量的な分布を調べるまでの一連の操作をいう。その結果は,地質学,古生物学,考古学,林学などに利用される。とくに地質学や考古学の分野では,過去の気候や植生を知るための資料として重要視される。また特定の花粉や胞子は,ある特定の地質時代にしか発見されないことを利用して,これらの花粉や胞子を含む地層の地質時代を知るために利用される。…

【アレルギー】より

…また,ガレノスが150年ころにヤギ乳について同様のことを注意した記録があるし,バビロニアの《タルムード》には卵白によるアレルギー性疾患と思われるものの予防法が書かれている。1565年にイタリア人の医師ボタロは花の花粉によると考えられるアレルギー性鼻炎を記載している。1873年イギリスの医師ブラックリーCharles H.Blackleyは,アレルギー性鼻炎(当時は枯草熱と呼んでいた)を起こす季節以外でも,患者に花粉を吸入させると症状を誘発しうることや,花粉をこのような患者の皮膚に擦り込むと発赤と膨疹を起こすことを発見した。…

【花粉分析】より

…地層中に埋もれた過去の植物の花粉pollenおよび胞子sporeをとり出し,それらを識別・鑑定するとともに,そのおのおのの量的な分布を調べるまでの一連の操作をいう。その結果は,地質学,古生物学,考古学,林学などに利用される。…

【植物】より

…胞子囊穂は分枝し,胞子囊托は花被に包まれる。胚囊(雌性配偶体)は退化し,花粉管受精を行う。子葉は2枚,系統関係のよくわからない3属よりなる。…

【花】より

…このように裸子植物の大胞子葉と被子植物のめしべ(心皮)は機能的にはよく似ている。しかし,被子植物のめしべは子房の中に胚珠を包みこみ,その先は柱頭となって花粉を受けとめ,雌性配偶体は著しく退化した胚囊となり,胚乳は極核と精核が受精してできる。また子房は発達し実となる。…

【胞子】より

…異形胞子はコケ植物とシダ植物の一部,裸子植物と被子植物のすべてにみられる。裸子植物と被子植物の小胞子は花粉とよばれ,成熟した花粉はすでに細胞分裂し,雄性配偶体ができている。
[胞子の特性と分散]
 藻類の胞子は水中に放出,散布されるので,胞子壁は厚くないが,コケ植物や維管束植物など陸上生活を営むものでは,胞子は乾燥に耐えられるように,多層からなる厚い胞子壁でおおわれ,さらに周皮によって包まれている場合もある。…

※「花粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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