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古生物学 こせいぶつがくpaleontology

翻訳|paleontology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

古生物学
こせいぶつがく
paleontology

化石を対象とし過去の生物を研究する学問。比較資料としては現生生物をも研究する。個体については形態,構造など記載的分野に始り,分類的位置,系統的類縁関係を明らかにする。さらに古生態を調べたり,種などの地理的分布を明らかにする。化石地層内における垂直分布,変遷,類縁関係などから,地球の無機的な発展に対応する生物の発達史を研究する。化石化作用の研究,化石に残された有機物の研究なども含まれている。

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デジタル大辞泉の解説

こせいぶつ‐がく【古生物学】

古生物の化石や遺跡などの研究を通して、生物進化様式機構や環境条件との関係を明らかにすることを目的とする学問。

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百科事典マイペディアの解説

古生物学【こせいぶつがく】

地質時代に生存していた生物すなわち古生物を対象に,その形態,分類,生態,進化などを研究する学問分野。広義には地質学的立場から化石の地史的意義を重視する生層位学も含まれる。
→関連項目アーベルアメリカ自然史博物館オーエンキュビエチッテル

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世界大百科事典 第2版の解説

こせいぶつがく【古生物学 paleontology】

古生物を研究する科学。生物を扱う点では生物学の一分野であるが,化石を直接対象として地質時代の生物現象を研究する点では地球の歴史科学である。化石に人間が関心を抱き始めた時代を特定することはできないが,少なくともクロマニョン人の遺跡から貝化石で作った首飾が出土していることで,その古さがわかる。化石に関する記述は前7世紀ころのギリシアの学者らが行っており,その生物起源であるという本質をすでに見抜いていた。

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大辞林 第三版の解説

こせいぶつがく【古生物学】

古生物を研究の対象とする学問分野。古動物学・古植物学・微古生物学などに区分される。生物の進化の解明や地層の対比、堆積環境の解析に貢献している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

古生物学
こせいぶつがく
paleontology

地質時代の生物(古生物)の体制・発生・生理・生態などの研究を通じて、生物進化の様式や機構の解明を目ざす分野。したがって、古生物の存在を示す具体的証拠である化石がおもな研究対象となるが、20世紀後半以降は遺存種などの現生種を含めた研究も行われるようになった。[棚部一成]

研究史


化石の研究
化石の研究は古代ギリシアまでさかのぼるが、化石に対する正しい理解は中国の朱子(朱熹(しゅき))やイタリアのレオナルド・ダ・ビンチによって与えられた。17世紀末から18世紀にかけては、化石は、地層の時代区分や対比の有効な武器として広く利用されるようになり、やがてデンマークのステノ、イギリスのW・スミスらにより生層序学(生層位学)が確立された。古生物学ということばは1834年にフランスのブレーンビルとドイツのワルトハイムGotthelf Fischer von Waldheim(1771―1853)によりほぼ同時に提唱されたが、当時の化石の研究は、生物学よりも地質学を基礎にした記載古生物学的性格が強かった。[棚部一成]
生物科学としての古生物学
一方、生物科学としての古生物学は18世紀以降の博物学の発展と並行して進められた。とくに古生物学に比較解剖学を導入したフランスのキュビエ、種の可変性を説き系統進化学の基礎をつくったラマルクやC・R・ダーウィン、さらに個体発生と系統発生との関係を重視し反復説を唱えたE・H・へッケルらの業績は大きい。歴史的には地質学への奉仕という応用面から出発した古生物学は、19世紀以降になると各分類群の系統分類に主眼を置くようになり、メンデルの法則の発見を契機に、現生種に対象を絞っていった近代進化学とは別の道を歩んでいった。化石の記載や分類を主目的とする従来の古生物学は、対象となる化石の分類単元に従って古動物学と古植物学に二分され、さらに時代別、分類群別に細分化している。[棚部一成]
20世紀以降
1940年代に入ると類型分類学にかわる新分類学が誕生し、個体群が進化の基本単位であるとする考えが定着した。さらに1970年代に入ると、分子生物学、発生学、生理学、生態学、生物地理学などから得られた進化の理論や仮説を積極的に学び取り、それらを古生物学の立場から検証し発展させていく生物学的古生物学palaeobiologyが生まれた。このような理論面からの変革とともに、電子顕微鏡、X線マイクロアナライザー(電子線マイクロアナライザー)、DNA分析装置、ガスクロマトグラフィー、質量分析計、CTスキャン、シンクロトロン放射光分析装置、コンピュータなどの理化学機器の開発や普及も古生物学の近代化に拍車をかけたといえる。これらの機器の導入により、化石自体の研究法も、従来の外部形態の記載にとどまらず、組織や細胞の微細構造の解析や、遺伝子、タンパク質、炭化水素の分析などの新分野が開拓された。さらに地質年代や環境因子も具体的な値で示すことが可能となり、研究の範囲も広がった。
 現代の古生物学は、当面する研究目標に従って、系統古生物学、古生態学、地球生物学に大別される。系統古生物学では、古生物の進化の過程や要因について研究し、とくに高次分類群の起源や系統関係の解析、形態進化と分子進化の関係の解明、種の分化の機構、生物多様性変動の傾向や大量絶滅の原因の解明などを目的としている。また1980年代以降は、先カンブリア時代などの古い地層中のバクテリアなどの微生物化石や生物起源の有機物(化学化石)や炭素同位体比を調べて、生命の起源や分子レベルでの進化を探る分子古生物学や有機地球化学などの分野が開拓された。古生態学は、生物進化を環境との相互作用(適応)としてとらえ、古生理学・機能形態学・古行動学などの分野が含まれる。地球生物学は、古生物とそれを取り巻く地史的背景を現代地球科学の立場から調べることを目的とする。これは従来の生層序学をさらに発展させたもので、古気候学、古海洋学、古生物地理学、古生物年代学などが含まれる。[棚部一成]
『池谷仙之・山口寿之著『進化古生物学入門――甲殻類の進化を追う』(1993・東京大学出版会) ▽間嶋隆一・池谷仙之著『古生物学入門』(1996) ▽速水格・森啓編『古生物の科学1 古生物の総説・分類』(1998) ▽棚部一成・森啓編『古生物の科学2 古生物の形態と解析』(1999) ▽棚部一成・池谷仙之編『古生物の科学3 古生物の生活史』(2001・以上朝倉書店) ▽速水格著『古生物学』(2009・東京大学出版会) ▽日本古生物学会編『古生物学事典 第2版』(2010・朝倉書店)』

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