思返(読み)おもいかえす

精選版 日本国語大辞典 「思返」の意味・読み・例文・類語

おもい‐かえ・す おもひかへす【思返】

〘他サ五(四)〙
① いったん考えたことを反省して変える。思い直す。考え直す。
大和(947‐957頃)一六八「走りやいでなましと千度(ちたび)思ひけれど、おもひかへしおもひかへし居て」
予想がはずれる。案に相違する。
今昔(1120頃か)三一「憑(たの)みて行きたる所にも思ひ返して、此にては否(え)不殺(ころさじ)と云ければ」
③ 過ぎ去ったことをあらためて思い浮かべる。回顧する。
※玉塵抄(1563)一五「昔の事ををもいかゑしてなげいて」

おもい‐かえし おもひかへし【思返】

〘名〙
① 考え直すこと。
史記抄(1477)一二「をもいかへしもせず、一足も後へひかいで死だらば」
② 思差(おもいざし)に対して返杯すること。杯の礼。
曾我物語(南北朝頃)八「盃思ひかへしとて、十郎にさしたりければ」

おもい‐かえ・る おもひかへる【思返】

〘自ラ四〙 前と同じ気持になる。考えがもと状態になる。
※後撰(951‐953頃)恋六・一〇五六・詞書「人をいひわづらひてこと人にあひ侍りてのち、いかがありけん、はじめの人に思かへりて」

おぼし‐かえ・す ‥かへす【思返】

〘他サ四〙 (「おもいかえす(思返)」の尊敬語) 反省して考えをお変えになる。考え直される。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「『あるまじきことを』とおぼしかへして」

おもい‐かえさ・う おもひかへさふ【思返】

〘他ハ四〙 反省する。後悔する。
増鏡(1368‐76頃)一一「年月、思ひきこえつるさま、おほけなくあるまじきこととおもひかへさひ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報