一足(読み)イッソク

デジタル大辞泉 「一足」の意味・読み・例文・類語

いっ‐そく【一足】

靴や足袋など、履き物の左右ひと組。→そく
蹴鞠けまりで、1回鞠をけること。
「鞠ヲ―ケル」〈日葡
わずかな足の動き。
「―一刀ひるみなく、絶頂さして追ひ上ぐるは」〈浄・源頼家源実朝鎌倉三代記
ある段階
「―とんだる作意もをかしく」〈貝おほひ

ひと‐あし【一足】

歩くときのひとまたぎ。一歩。「一足踏み出す」
わずかな距離。また、わずかな時間。「駅まではもう一足だ」「一足先に帰宅する」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一足」の意味・読み・例文・類語

いっ‐そく【一足】

〘名〙
① 靴、げた、靴下など、はき物の左右一組。〔文明本節用集(室町中)〕
② 鞠(まり)を一回蹴ること。また、蹴鞠(けまり)一個。
※御湯殿上日記‐文明一二年(1480)六月五日「右中弁より御まり一そくまいる」
③ 一本の足。片足
平家(13C前)二「かた足なき身となって〈略〉『今は曠田の畝に捨られて、胡敵の一足となれり〈略〉』とぞ書いたりける」
④ 一歩前に踏みだすこと。また、わずかな足の動き。(一手一足で)わずかな労力のたとえ。
※太平記(14C後)三七「一足も前へは進とも、一歩も後へ引く気色なくは」 〔礼記‐表記〕
⑤ 一つの段階・程度。一歩。
※俳諧・貝おほひ(1672)五番「足本(あしもと)しらずの麁相(そさう)ものと見え侍れども、一足とんだる作意もおかしく」
田植え神事に行なわれるまじないの一種。長い棒に横木を打った竹馬状のものを作り、これに足をのせて歩く。また、それを小児の遊び道具にしたもの。高足。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
丁半とばくで、いかさまの一方法。
※歌舞伎・天満宮菜種御供(1777)八「丁半は達者に、組み前には一足をこぼし」

ひと‐あし【一足】

〘名〙
① 足を一度あげること。
落窪(10C後)二「一足づつ蹴る」
② 歩くときなどのひとまたぎ。一歩。
史記抄(1477)三「足が偏枯して一足をさきへやりて、さて一足を引ぞ」
③ ちょっとの時間。ちょっとの距離。
滑稽本八笑人(1820‐49)初「頭武州は一(ひト)足跡から出かけさっし」

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