朝日日本歴史人物事典 「恒次」の解説
恒次
鎌倉初期の備中(岡山県)古青江派の刀工。後鳥羽院番鍛冶のひとりで,江戸時代の刀剣書の多くは守次の子で時代を承久(1219~22)ごろとしている。天下五剣の一として室町時代から名高く,日蓮が身延開山に当たり,盗賊からの自身衛護のために用いたという『享保名物帖』所載の数珠丸恒次がその代表作といわれているが,銘の位置,茎の鑢仕上などが通常の古青江とは異なっており,古備前とする説もある。これとは別にほぼ同時代で,作風,茎仕立,銘の位置など,古青江の特徴が顕著な作があり,また鎌倉末期,正和,文保の年号を記す右衛門尉,嘉暦,元徳の年号を記す左衛門尉を冠するもの(同人とみられている)がいて,代を重ねていたとみられている。<参考文献>東京国立博物館編『備中青江の名刀』
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報