戦略ミサイル(読み)せんりゃくミサイル(その他表記)strategic missile

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戦略ミサイル」の意味・わかりやすい解説

戦略ミサイル
せんりゃくミサイル
strategic missile

相手国の政治,経済の中枢国力根源を破壊し,あるいは相手の戦略兵力を破壊し,またはその潜在力によって相手国の攻撃を抑止するのを目的とするミサイル。大きな射程(大陸間射程),大破壊力(メガトン級熱核兵器),敵の先制第一撃からの残存性,防御に対する突破性を必要とする。地下基地大陸間弾道ミサイル ICBM,原子力潜水艦搭載の潜水艦発射弾道ミサイル SLBMが戦略ミサイル体系のおもなものである。弾道ミサイル迎撃ミサイル ABMに対する防御突破性と目標に対する破壊効果を向上させるため,機動式弾頭 MaRV複数独立目標弾頭 MIRVが装備され,また残存性を高めるためアメリカでは ICBMを潜水艦に搭載する型式の長距離ミサイル,トライデント D-5を開発,実用配備した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の戦略ミサイルの言及

【ミサイル】より


[第2次大戦後のミサイル競争]
 戦後,ソ連はいち早くペーネミュンデ研究所やロケット工場を占領し,多くの研究資料,技術者を本国へ送り,アメリカもV2とブラウンらの技術者を入手し,こうしてドイツで始まったミサイルは,以後,米ソの競争の下で究極兵器といわれるまでに進歩する。 相手国の政治,軍事,産業の中枢を破壊し,戦争遂行能力を奪う戦略爆撃は,第2次大戦において大規模に実施され,連合軍側の勝利に大きく貢献したが,第2次大戦末期に原子爆弾が出現すると,この大破壊力をもつ核兵器を長距離運搬する手段が重要な課題となり,ミサイルもその一環として検討されることになった(なお,この種のミサイルは後日戦略ミサイルと呼ばれることになる)。アメリカでは大戦中の戦略爆撃機の存在があまりに大きく,戦後もこれの開発が引き続き進められた。…

※「戦略ミサイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android