抜取(読み)ぬきとる

精選版 日本国語大辞典 「抜取」の意味・読み・例文・類語

ぬき‐と・る【抜取】

〘他ラ五(四)〙
① ひき抜いて取る。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)四「牙を抜取(ヌきトリ)て来るべし」
※血と水の匂い(1970)〈丸山健二〉「ひとりあたり二百ccの血を抜きとって」
② ある物を選び取る。より出して移す。
日葡辞書(1603‐04)「Nuqitori, u, otta(ヌキトル)〈訳〉麦または米の中から草を、また黒い髪の中から白髪などを取り去る」
中身を抜いて減らす。荷物などの中身を盗み取る。
浮世草子世間胸算用(1692)一「灯明は、台に砂時計を仕くはし、油をぬき取事ぞ」
④ 城などを攻め落とす。
書紀(720)継体二三年三月(寛文版訓)「三つの城を抜(ヌキトリ)つ」

ぬき‐とり【抜取】

〘名〙
① 物を抜き取ること。
② 輸送中の荷物から中身を盗み取ったり、人の懐中から財布などをすり取ったりすること。〔現代術語辞典(1931)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の抜取の言及

【分散】より

…その際作成される財産目録を〈分散割帳〉といい,債務者本人のほか町村役人,親類などが加印する。質権者や奉公人の給金などは,〈抜取〉と称し一般債権者に優先して全額の弁済を受けることができた。分散に加入しなかった債権者は,債務者から〈出世証文(仕合(しあわせ)証文)〉を取り置いて,他日債務者の資力が回復するのを待って請求すること(〈跡懸り〉)ができる。…

※「抜取」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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