日本大百科全書(ニッポニカ) 「担葉体」の意味・わかりやすい解説
担葉体
たんようたい
真嚢(しんのう)シダ類ハナヤスリ目の植物にみられる、いわゆる共通柄(へい)のことである。この目の植物はフジハナヤスリやフユノハナワラビなどのように、地中に直立する短い茎から1本の柄(え)を地上に伸ばし、その先に1枚の栄養葉と1本の胞子葉を生じる。野津良知はオオハナワラビを材料にして、この柄状部を形態学的に詳しく研究し、その結果、この部分は従来いわれてきたような単なる葉柄ではないとした。そして、この柄状部は胞子葉柄分岐点を境として、それより上の部位とは性質を異にするとして、担葉(たんよう)部とよんだ(1950)。その後、西田誠は、この部位は2枚の葉の合成によってつくられたものと考え、葉的な器官ではあるが、茎と葉柄の中間的性質を示すとし、担葉体と名づけた(1957)。
[栗田子郎]