日本大百科全書(ニッポニカ) 「捕縄術」の意味・わかりやすい解説
捕縄術
ほじょうじゅつ
人を捕らえ縄をもって縛る術のことで、取縄(とりなわ)、捕縛(ほばく)術、螺繋(らけい)術などとよばれた。初めは戦場において、敵の捕虜を拘縛したり、乱妨狼藉(ろうぜき)を働いた者を制御し、その脱走・逃亡を予防するために行われたが、のちには犯罪者の捕縛拘禁あるいは押送(おしおく)りに用いられるようになった。江戸時代に入ると、前者を早縄(はやなわ)・仮縄(かりなわ)、後者を本縄(ほんなわ)・取手縄(とりてなわ)・堅縄(かたなわ)などといい、縄の太さや長さ、縄縛(じょうばく)の簡繁などにくふうが施され、また縄のかけ方(縛法(ばくほう))も、身分階級や職柄年齢の区分がつくように定型化され、定法(じょうほう)化して定法違いの縄をかけた場合、それはかける者の落度(おちど)、かけられる物の恥辱とまでいわれるようになった。
[渡邉一郎]