逃亡(読み)トウボウ

デジタル大辞泉 「逃亡」の意味・読み・例文・類語

とう‐ぼう〔タウバウ〕【逃亡】

[名](スル)
逃げて身を隠すこと。「犯人逃亡する」「敵前逃亡
律令制で、本籍地任地から他郷へかってに離れること。
[類語]亡命逃げる逃れる免れる逃げ出す逃げ去る逃げ込む逃げ回る逃げ迷う逃げ惑う逃げ延びる落ち延びる逃げ切るずらかる後ろを見せる逃走遁走逃避

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精選版 日本国語大辞典 「逃亡」の意味・読み・例文・類語

とう‐ぼうタウバウ【逃亡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 逃げて身を隠すこと。のがれかくれること。ちょうぼう。ちょうもう。〔五国対照兵語字書(1881)〕 〔史記‐孟嘗君伝〕
  3. ( ━する ) 特に、令制時代、本籍地や任地・居所などから不法に離れて行方不明になる違法行為
    1. [初出の実例]「容隠浮浪及逃亡仕丁等私以駈使」(出典:続日本紀‐和銅二年(709)一〇月丙申)
  4. とうぼうざい(逃亡罪)」の略。
    1. [初出の実例]「あと三日経過すれば、もう逃亡だ。つかまへられれば軍法会議に廻されて重い刑に附せられるのだ」(出典:一兵卒の銃殺(1917)〈田山花袋〉二二)

ちょう‐もうテウマウ【逃亡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ちょう」は「逃」の慣用音、「もう」は「亡」の呉音 ) 人が他所へ逃れ去ること。特に中世農民領主に反抗しその圧政からのがれるための手段として他所に逃げ去ること。逃散(ちょうさん)。ちょうぼう。とうぼう。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

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旺文社日本史事典 三訂版 「逃亡」の解説

逃亡
とうぼう

律令制下,公民無断本貫 (ほんかん) の地(本籍地)を離れて他所に移住すること
公民の逃亡は律令によって禁止されていたが,過大な税負担を免れるために逃亡する者はあとをたたず,奈良時代計帳にもその記録がみえる。逃亡者の多くは荘園に流れこんだため荘園増加の傾向が促進され,国家財政の収入減の原因となった。

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デジタル大辞泉プラス 「逃亡」の解説

逃亡

松本清張時代小説。1966年刊行。1967年、「昭和史発掘」「花氷」とともに第1回吉川英治文学賞受賞。
②①を原作とする日本のテレビドラマ。放映はNHK(2002年1月~2月)。全6回。脚本:大藪郁子ほか。出演:上川隆也、宅麻伸、浅丘ルリ子、原田美枝子ほか。

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普及版 字通 「逃亡」の読み・字形・画数・意味

【逃亡】とうぼう

他の地へ逃走する。

字通「逃」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の逃亡の言及

【走者】より

…逃者・逃人・出百姓(でびやくしよう)などともいう(《相良氏法度》《塵芥集》〈高梨文書〉)。逃亡を〈走る〉と表現する例は中世に広くみられるが,走者という語法はそれほど一般的ではない。その実態は被官・中間(ちゆうげん)・下人・百姓など多様であるが,逃散(ちようさん)のような組織的な公然たる抵抗をあらわす逃亡よりは,むしろ走入(はしりいり)・欠落(かけおち)など,負債や困窮を原因とする個別的なひそかな逃亡についていい,中世を通じてその例は多い。…

【浮浪・逃亡】より

…両者をあわせて〈浮逃〉とも略称される。通説的見解では,律令本来の規定としては,本籍地を離脱した者のうち,他国にあって課役を全部出す場合が浮浪であり,課役を出さない場合が逃亡であるが,現実政治の上では両者はしばしば混同されて扱われた。律令政府は〈浮逃〉に対して厳罰をもってのぞみ,可能なかぎり本籍地への送還をおしすすめたが,715年(霊亀1)に発せられた格によって,それぞれの現住地において戸籍に登録し,そこで課役を負担させるという,実情にあわせた政策に転換したとされている。…

※「逃亡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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