知恵蔵 「改正高年齢者雇用安定法」の解説
改正高年齢者雇用安定法
被雇用者の定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等により、高年齢者の安定雇用の確保や再就職の促進、就業の機会の確保等の措置を講じることなどを目的として、「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」が1971年に制定された。現行名称になるまで、様々な変更・改正を経ており、「定年の廃止」「定年の引き上げ」「再雇用など継続雇用制度の導入」のいずれかの制度を導入するよう企業に求めている。これまで、多くの企業では「継続雇用制度」が導入されてきたが、労使協定で能力や勤務態度などの基準を設けて、これに満たない社員を対象から外すことも可能だった。2012年の改正では、「継続雇用制度」の対象者を選別することを禁じるとともに、継続雇用先を当該企業とその子会社から、関連会社まで広げた。これにより、雇用の継続を希望する人は原則として、65歳まで全員再雇用されることが可能となる。また、違反した企業への対策も強化し、勧告のみにとどまらず、これに従わない場合には企業名を公表したり、行政処分を科したりする場合がある。ただし、一部では企業側にとっては負担増となり得ることから、「能力の高い高齢者の賃金が抑制される」「若年者の雇用を妨げる」などの懸念を示す向きもあるという。
(金谷俊秀 ライター / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報