整・調・斉(読み)ととのえる

精選版 日本国語大辞典「整・調・斉」の解説

ととの・える ととのへる【整・調・斉】

〘他ア下一(ハ下一)〙 ととの・ふ 〘他ハ下二〙
① 本来の、または正しい状態に直す。きちんとさせる。正す。理する。整頓する。
書紀(720)継体元年正月(前田本訓)「兵仗を夾み衛る、容儀粛(いつく)しく整(トトノヘ)て」
※後拾遺(1086)雑四・一〇八〇「ととのへし賀茂の社のゆふだすき帰るあしたぞ乱れたりける〈安法法師〉」
② 凹凸がないようにそろえる。ひとつになるように合わせる。そろえる。
※書紀(720)仁徳元年正月(前田本訓)「茅茨(かや)蓋くときに、割斉(かやしりきりトトノヘ)ず」
※保元(1220頃か)下「女房達、声をととのへて泣きかなしみ給ふ」
③ 目的をもって人や相手を集める、または、そろえる。自分の支配下におさめる。
※書紀(720)天智二年六月(北野本訓)「王(こきし)健児(ちからひと)を勒(トトノヘ)て、斬りて首を醢(すし)す」
秩序ある状態にまとめる。調和のとれた好もしい状態にもって行く。調整する。調節する。
※書紀(720)景行四〇年七月(北野本訓)「即(すなは)ち言を巧(たく)みて暴(あら)ぶる神を調(トトノヘ)(つはもの)を振(ふる)ひて姦鬼(かたましきもの)を攘(はら)へ」
源氏(1001‐14頃)若菜下「琴(きん)の音を離れては、なに事をか、ものをととのへ知るしるべとはせむ」
⑤ 夫婦としてめあわせる。結婚させる。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「一人にあたるをば、帝に奉りつ。そのつぎつぎ、ことごとくにととのへたなり」
⑥ 用意する。支度する。準備する。調達する。調製する。
※万葉(8C後)二〇・四三三一「朝凪ぎに 水手(かこ)等登能倍(トトノヘ) 夕潮に 楫(かぢ)引き撓(を)り」
※御伽草子・二十四孝(室町末)「葬礼をととのへたく思ひ侍れども」
⑦ 買う。あがなう。
※咄本・八行整版本昨日は今日の物語(1614‐34頃)「尾張の熱田へ、生鯛をととのへに遣はしけるが」
[補注]室町時代ごろからヤ行にも活用した。→ととのゆ(整)

ととの・う ととのふ【整・調・斉】

[1] 〘自ワ五(ハ四)〙
① 秩序のある状態になる。調和がとれる。均整がとれる。きちんとする。また、楽器などの調子が合う。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「この琴どもはいかでつくりしぞ。〈〉七つながらおなじこゑにはいかでととのひたるぞ」
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「人がらもあるべきかぎりととのひて」
② 不足なくそろう。完備する。備わる。そろう。また、用意ができる。
※大鏡(12C前)三「よろづにととのひたまへるに、和歌のかたやすこしおくれたまへりけん」
③ ぐあいのよい状態になる。望むようにしあがる。うまくいく。できあがる。成立する。
※宇津保(970‐999頃)沖つ白浪「みな御かたがたととのひてすみ給ふ」
夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部「おまんの世話で、その方にお粂の縁談がととのひ」
[2] 〘他ハ四〙 =ととのえる(整)
※続日本紀‐天平宝字八年(764)一〇月九日・宣命「又竊かに六千の兵を発し等等乃(トトノヒ)
[3] 〘他ハ下二〙 ⇒ととのえる(整)
[補注]同じ意に用いられる自動詞に「ととのおる」が古くあり、他動詞としては、下二段(下一段)活用の方が多く用いられる。

ととのお・る ととのほる【整・調・斉】

〘自ラ四〙
① 秩序ある状態になる。均整がとれる。調和がとれる。きちんとする。
※書紀(720)推古一二年四月「上礼無きときは、下斉(ととのほ)らず」
② 欠けるところなくそろう。備わる。そろう。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「さとくかしこく魂〈略〉ととのほり、容面心、人にすぐれたらば」
③ うまくいく。はかどる。
※書紀(720)欽明七年七月「乃ち良駒を見つ。〈略〉服り御(もち)ゐること随心(やすらか)に、馳せ驟(うぐつ)くこと合度(ととのほ)れり」

ととの・ゆ【整・調・斉】

〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段活用の「ととのふ」から転じて、室町時代ごろから用いられた語。多くの場合、終止形は「ととのゆる」の形をとる) =ととのえる(整)
※六物図抄(1508)「斉整はととのゆる也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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