整える(読み)トトノエル

デジタル大辞泉 「整える」の意味・読み・例文・類語

ととの・える〔ととのへる〕【整える/調える/斉える】

[動ア下一][文]ととの・ふ[ハ下二]
必要なものをすべてそろえる。間に合うように用意する。また、買ったりしてとりそろえる。「支度を―・える」「夕食を―・える」
乱れのないように形をきちんとする。「服装を―・える」「隊列を―・える」「体勢を―・える」
交渉相談を成立させる。まとめる。「縁談を―・える」「商談を―・える」
点検して望ましい状態にしておく。調整する。「楽器音程を―・える」「味を―・える」
[補説]多く2は「整える」、134は「調える」と書く。
[類語]揃える取り揃える調う揃う片付ける直す整頓せいとんする整理する始末する仕舞う収納するかたす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「整える」の意味・読み・例文・類語

ととの・えるととのへる【整・調・斉】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]ととの・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 本来の、または正しい状態に直す。きちんとさせる。正す。整理する。整頓する。
    1. [初出の実例]「兵仗を夾み衛る、容儀粛(いつく)しく整(トトノヘ)て」(出典:日本書紀(720)継体元年正月(前田本訓))
    2. 「ととのへし賀茂の社のゆふだすき帰るあしたぞ乱れたりける〈安法法師〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)雑四・一〇八〇)
  3. 凹凸がないようにそろえる。ひとつになるように合わせる。そろえる。
    1. [初出の実例]「茅茨(かや)蓋くときに、割斉(かやしりきりトトノヘ)ず」(出典:日本書紀(720)仁徳元年正月(前田本訓))
    2. 「女房達、声をととのへて泣きかなしみ給ふ」(出典:保元物語(1220頃か)下)
  4. 目的をもって人や相手を集める、または、そろえる。自分の支配下におさめる。
    1. [初出の実例]「王(こきし)健児(ちからひと)を勒(トトノヘ)て、斬りて首を醢(すし)す」(出典:日本書紀(720)天智二年六月(北野本訓))
  5. 秩序ある状態にまとめる。調和のとれた好もしい状態にもって行く。調整する。調節する。
    1. [初出の実例]「即(すなは)ち言を巧(たく)みて暴(あら)ぶる神を調(トトノヘ)(つはもの)を振(ふる)ひて姦鬼(かたましきもの)を攘(はら)へ」(出典:日本書紀(720)景行四〇年七月(北野本訓))
    2. 「琴(きん)の音を離れては、なに事をか、ものをととのへ知るしるべとはせむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  6. 夫婦としてめあわせる。結婚させる。
    1. [初出の実例]「一人にあたるをば、帝に奉りつ。そのつぎつぎ、ことごとくにととのへたなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
  7. 用意する。支度する。準備する。調達する。調製する。
    1. [初出の実例]「朝凪ぎに 水手(かこ)等登能倍(トトノヘ) 夕潮に 楫(かぢ)引き撓(を)り」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三三一)
    2. 「葬礼をととのへたく思ひ侍れども」(出典:御伽草子・二十四孝(室町末))
  8. 買う。あがなう。
    1. [初出の実例]「尾張の熱田へ、生鯛をととのへに遣はしけるが」(出典:咄本・八行整版本昨日は今日の物語(1614‐34頃))

整えるの補助注記

室町時代ごろからヤ行にも活用した。→ととのゆ(整)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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