知恵蔵 「文豪ストレイドッグス」の解説
文豪ストレイドッグス
孤児院を追い出された中島は、川でおぼれかかっていた太宰を助けたことをきっかけに、軍や警察が踏み込めない凶悪事件などを解決することを目的とした、太宰が所属する組織「武装探偵社」に就職した。中島は、そこで得た仲間と共に対立する国内マフィアや北米組織との戦いを展開していく。他に原作の朝霧が手掛けた小説版3作(角川ビーンズ文庫)と、現代作家である綾辻行人や京極夏彦、辻村深月をキャラクター化したシリーズ外伝の小説(角川書店)が販売され、いずれも人気となっている。16年4月からは、TOKYO MX系列などでテレビアニメがスタートした。
ヤングエースの編集者が、動画サイトに物語性のある動画を投稿していた朝霧にマンガの企画を依頼し、打ち合わせの中で「文豪をイケメン化した作品をやろう」というアイデアが生まれ、制作につながったという。中島や太宰、芥川、国木田独歩や江戸川乱歩といった国内作家の他に、フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドやルーシー・モード・モンゴメリなど海外作家の名前をとったキャラクターも登場する。それぞれの特殊能力は各作家の代表作やエピソードを冠しており、例えば中島は虎に変身する「月下獣」、太宰は相手の能力を無効にする「人間失格」、フィッツジェラルドは自分自身の能力を強化する「華麗なるフィッツジェラルド」を駆使して戦う。
KADOKAWAによると、中学・高校生の男女がメーンターゲットで、読者の約7割が女性であるという。マンガをきっかけに文豪の小説を読む例や、大学の文学部に進学する例など、若者の文学世界への入り口のような役割も果たしているという指摘もあり、14、15年と2年連続で連携して特別展を開催した神奈川近代文学館(神奈川県横浜市)には、多くの読者が足を運んだ。
(南 文枝 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報