新ケインズ派(読み)しんケインズは(その他表記)New Keynesian

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新ケインズ派」の意味・わかりやすい解説

新ケインズ派
しんケインズは
New Keynesian

新古典学派とは異なる独自の理論体系を主張する経済学者らの総称。次のような4つの流れに大別できる。 (1) スラッファ体系を重視し,長期正常価格のみを考察の対象にする生産価格論の立場をとるミルゲイト,イートウェルらで,しばしば新リカード学派と呼ばれる (ケンブリッジ革命 ) 。 (2) N.カルドア,J.V.ロビンソンを代表とする人々で,M.カレツキの理論,特に分配理論の重要性を強調し,それを J.M.ケインズの有効需要論に結びつける。資本論争のときにアメリカン・ケインジアンとの論陣を張った。クレーゲル,ハーコートなどもこの流れに入る。 (3) デビッドソンを中心としてケインズの貨幣に関する分析を重視する立場である。不確実性が現実経済の動きに決定的な影響を与えていることを重視し,そのなかで期待要因や貨幣が果す役割を考える。ロビンソンの立場を継承している面もあるが,特に分配論においては貨幣的な要因を重くみる傾向がある。 (4) レイマーを代表とするネオマルキシアンと呼ばれるグループである。マルクス主義的な労働価値説を信奉し,転形問題を数理学的に解析する試みを行なっている。

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