有松絞(読み)アリマツシボリ

デジタル大辞泉 「有松絞」の意味・読み・例文・類語

ありまつ‐しぼり【有松絞】

名古屋市緑区有松町・鳴海なるみ町付近から産する木綿絞り染め浴衣地が多い。鳴海絞なるみしぼり

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精選版 日本国語大辞典 「有松絞」の意味・読み・例文・類語

ありまつ‐しぼり【有松絞】

〘名〙 名古屋市緑区有松町、鳴海町付近から産する木綿の絞り染め。浴衣地、手拭地兵児(へこ)帯地などにする。なるみしぼり。ありまつぞめ。
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)四「名物有松しぼりおめしなされ」

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百科事典マイペディア 「有松絞」の意味・わかりやすい解説

有松絞【ありまつしぼり】

名古屋市緑区有松を中心に生産される絞染。慶長年間(1596年―1615年)に竹田庄九郎創始尾張藩保護により発達技法三浦絞をはじめ縫い絞,巻上げ絞など多種用途も広いが,特に木綿に藍染(あいぞめ)した浴衣地が知られる。隣接地の鳴海(なるみ)の宿で売られたので,鳴海絞とも称する。
→関連項目絞染鳴海緑[区]

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デジタル大辞泉プラス 「有松絞」の解説

有松絞

愛知県名古屋市の有松地区で生産される木綿の絞り染め。名古屋城築城の際、手伝いを命じられた豊後九州)の大名に付き従って当地にやってきた人々から技術が伝えられたものとされる。尾張藩が藩の特産品として奨励し、東海道土産物として手ぬぐいや浴衣生地などが販売された。鳴海地区の鳴海絞とあわせ、「有松・鳴海絞」として国の伝統的工芸品に指定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の有松絞の言及

【絞染】より

…一方,江戸初期ころから地方において木綿絞の夜着,ゆかた,手ぬぐい,献上手綱などが生産された。なかでも有松(名古屋市緑区)地方で慶長年間(1596‐1615)に竹田庄九郎がはじめたといわれる有松(ありまつ)絞は,尾張藩の庇護のもとに産業として栄えた。街道筋の鳴海の宿場で売られたので鳴海(なるみ)絞の名で知られ,今日に及んでいる。…

【染色】より

…流行は地方にも波及し,京都の絹布の絞に対して,木綿の絞が出現した。そのなかで最も生産が盛んで広く世に知られたのが,尾州の有松絞であった。有松絞の年譜によれば寛永年間(1624‐44)に紅や紫の色染絞が始められ,延宝年間(1673‐81)には大名絞,杢目絞,手綱絞などの技法を組み合わせた文様絞が考案され,文化年間(1804‐18)には養老絞や筋絞,新しい手綱絞の工夫,1850年(嘉永3)には鈴木金蔵によって養老影絞,竹田利三郎により白影(しらかげ)絞が考案されるなど,めざましい発展を遂げた。…

※「有松絞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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