九州(読み)きゅうしゅう

精選版 日本国語大辞典 「九州」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐しゅう キウシウ【九州】

[一] 日本全土のこと。
※凌雲集(814)高士吟〈賀陽豊年〉「一室何堪掃。九州豈足歩」
平家(13C前)四「九州を統領し、百司を進退して」
[二] 西海道のこと。筑前筑後豊前豊後肥前肥後日向薩摩大隅の九か国に分けたことによる。鎮西
※吾妻鏡‐文治元年(1185)三月九日「四国事者、義経奉之。九州事者、範頼奉之」
[三] 九州地方の通称。
※幼学読本(1887)〈西邨貞〉七「九州の東南に位する一大嶋にして、九州よりも余程小さなる嶋は、〈略〉四国と称ふ」
[四] 中国全土をさす称。夏禹の時代に、全域を九つに分けたことによる。「書経‐禹貢」によれば冀(き)、兗(えん)、青、徐、揚、荊、予、梁、雍の九州。九域。九服。九土。九畿。九国。九野。
※金刀比羅本平治(1220頃か)上「九州(キウシウ)の主に成べしとて、御門より三度までめさるるなり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「九州」の意味・読み・例文・類語

きゅうしゅう〔キウシウ〕【九州】

日本列島の四大島のうち、南西端にある島。対馬つしまなどの属島をもつ。
九州地方のこと。
西海道の9か国の総称筑前ちくぜん筑後ちくご肥前ひぜん肥後ひご豊前ぶぜん豊後ぶんご日向ひゅうが大隅おおすみ薩摩さつま西海鎮西ちんぜい
中国、王朝の始祖が中国全土を九つの地域に分けたもの。「書経」禹貢によると、えん・青・徐・揚・荊・予・梁・雍の九州。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「九州」の意味・わかりやすい解説

九州 (きゅうしゅう)
Jiǔ zhōu

中国全土の称。九は極数を意味するが,前4~前3世紀ごろから具体的に九つの州を挙げることが行われだした。諸説ある中で最も有名なのは《書経》の〈禹貢〉にみえる九州で,山川を基準にして中国を次のように分けている。冀(き)州(今日の山西省,河北省),兗(えん)州(河北省南部,山東省北西部),青州(山東省中東部),徐州(山東省南部,江蘇省北部,安徽省北部),揚州(江蘇省,安徽省,浙江省),荆(けい)州(湖北省湖南省,江西省),予州(河南省,湖北省北部),梁州(陝西省南部,四川省),雍(よう)州(陝西省,甘粛省)の九つである。《周礼(しゆらい)》の〈職方氏〉の九州説は〈禹貢〉の冀州の北半分を幽州(河北省北部)と幷(へい)州(山西省北部)に分け,代りに徐州と梁州を除いている。漢代では十一州(〈禹貢〉の九州に幽と幷を加え,梁を益,雍を涼と改名)で実際に領土を区分したが,武帝時代の領土拡大に伴い,十一州のさらに北部と南部に朔方(さくほう)と交趾(こうし)を設け,あわせて十三州と称した。
執筆者:

九州(日本) (きゅうしゅう)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「九州」の読み・字形・画数・意味

【九州】きゆうしゆう(きうしう)

古く中国を冀(き)・(えん)・青・徐・揚・・予・梁・雍の九州に分けた。天下。〔周礼、夏官、量人〕國をるの法を掌り、以て國をつて九州と爲す。國の郭を營み、后宮を營む。

字通「九」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

とっさの日本語便利帳 「九州」の解説

九州

西海道の九カ国。▽筑前、筑後、肥前、肥後、豊前、豊後、日向、大隈、薩摩

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android