有機酸代謝異常症(読み)ゆうきさんたいしゃいじょうしょう

六訂版 家庭医学大全科 「有機酸代謝異常症」の解説

有機酸代謝異常症
ゆうきさんたいしゃいじょうしょう
Disorder of organic acid metabolism
(遺伝的要因による疾患)

どんな病気か

 いろいろな有機酸血症(ゆうきさんけっしょう)が知られていますが、そのなかでもメチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、イソ吉草酸血症(きっそうさんけつしょう)が比較的頻度の高い病気です。

症状の現れ方

 嘔吐、哺乳力低下、筋緊張低下、ケトアシドーシス血液が酸性化すること)などで新生児から乳児期に発症することが多く、けいれん、意識障害を起こします。

治療の方法

 急性発作時には、糖質輸液やアルカリ療法を行い、重症の場合には腹膜透析(とうせき)、血液透析で蓄積した有機酸を除去します。症状がおさまっている時期には、特殊ミルクと低蛋白食による食事療法やカルチニン投与を行います。

 メチルマロン酸血症はビタミンB12の投与で軽快する場合もあります。

岡野 善行

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

内科学 第10版 「有機酸代謝異常症」の解説

有機酸代謝異常症(アミノ酸代謝異常)

(5)有機酸代謝異常症
病因
 有機酸代謝異常症は,アミノ酸,脂肪酸,糖などの中間代謝過程の代謝障害によって起こる疾患の総称である.代謝障害部位の上流の有機酸が体内に増加し,代謝性アシドーシスなどをきたす.脂肪酸β酸化異常症もカルボン酸が上昇するため,これに含めることが多い.メチルマロン酸血症,プロピオン酸血症,イソ吉草酸血症などのロイシンやイソロイシン代謝経路の異常,グルタル酸血症Ⅰ型はリジン,トリプトファン代謝過程の異常,脂肪酸β酸化異常症各型,高乳酸・高ピルビン酸血症各型,カルニチン代謝異常各疾患なども含まれ多岐にわたる(表15-10-3).
神経症状
 疾患によって異なるが多くは乳児早期から哺乳力低下,呼吸障害,意識障害あるいは進行性中枢神経症状を呈する.また乳幼児期に,急性脳症,Reye症候群などの類似症状にて発症するものもある.[青木継稔]
■文献
Behrman RE, Kliegman RM, et al eds: Nelson Textbook of Pediatrics, 19th ed, WB Saunders, Philadelphia, 2011.Scriber CR, Beaudt AL, et al eds: The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease, 8th ed, McGraw-Hill, New York, 2001.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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