札差事略(読み)ふださしじりゃく

改訂新版 世界大百科事典 「札差事略」の意味・わかりやすい解説

札差事略 (ふださしじりゃく)

江戸の札差株仲間の編纂した日本最初の大部な同業組合史。1817年(文化14)成立。1724年(享保9)株仲間の起立以来の主要な事件を,関係文書をそのまま引用しつつ部類別・年代順に編集。編者は扇谷定継ら有志の札差。構成は惣首書,御番所,御蔵方,御改正,条目帳,運送方など全35巻38冊からなり,札差会所備付けの底本のほかに6部の写本が作られ,札差の株仲間各組の備品とした。一橋大学に会所備付本,一番組本と零本があるほか,住友修史室等にも一部保存されている。なお〈札差業要集〉(《未刊随筆百種》所収)は本書の抜粋本である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の札差事略の言及

【札差】より

…このためつぶれる者も出るほど経営が悪くなったが,文化・文政時代に繁栄を取り戻した。俳人夏目成美や蔵書家松本幸彦らを生み,大冊の同業組合史(《札差事略》)編纂などにみられる文化史上の功績は,この時期の札差の隆盛が生み出したものと考えられる。だが1841年(天保12)天保改革の一環として株仲間解散となり,43年札差債権の無利子・年賦の強制令が出され,新規の利子も10%に下げられると,半数以上が閉店して金融を拒否するなど対抗の挙に出たが,結局幕府に押しきられた。…

※「札差事略」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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