朝日日本歴史人物事典 「松本五郎市」の解説
松本五郎市
江戸中期の歌舞伎の振付師。俳名文糸。若女形初代松本米三郎の子。寛政5(1793)年,松本八十八の名前で子役として桐座の舞台を踏む。子役,若女形から文化14(1817)年立役になり五郎市と改める。このころから振付師も兼ねた。文政2(1819)年,松本文糸の名で清元「鳥羽絵」を振り付ける。その冬から3代目坂東三津五郎付きとなり,清元「傀儡師」,常磐津「宗清」などを振り付ける。三津五郎の没後,12代目市村羽左衛門付きとなった。振付師が役者から独立した職掌になっていくなかで,最後まで役者を兼ねた。三味線や笛もよくし,頓才にとみ「肝っ玉」とあだ名された。舞踊松本流の基礎をつくった。
(古井戸秀夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報