長男(読み)ちょうなん

  • ちょうなん チャウ‥
  • ちょうなん〔チヤウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

第1番目の男子。家の長男を惣領息子と称し,跡取りとして戸主権を譲り,財産を相続させることが中世の武家社会では一般的であった。その後庶民の間にも行われるようになり,明治民法では長男に家督相続権を認めた。長男はイセキ (一跡) ,オオゴ (大子) ,イハイゴ (位牌子) ,ワカヨ (若世) ,オヤケゴ (公子) などと特別に呼ばれている。また弟たちは長兄をオヤカタと呼ぶが,これは家の作業頭の意である。今日でも村の祭りに長男だけを特別の役につける習俗があり,一般家庭でも子供の初節供,誕生祝いなど,長男だけを特別に行う習俗もみられる。 (→嫡子 )  

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

第一番目の男子。長子も長男をさすのが一般であるが、正確には長男子(ちょうだんし)という。日本では古来長子相続が圧倒的に多く、長男は次男以下の男子や女子と比べて高い地位を占めてきた。したがって他子と区別して長男だけをさす呼称が発達した。オオゴ(島根県、広島県)は単に長男の意味にすぎないが、跡継ぎ、跡取りをはじめアトセ(岩手県)、ホンヤドリ(和歌山県)、ワカヨ(大分県)、ヨトリ(長野県、佐賀県)、ウチトリ(佐賀県)など継承者を表現したものが多い。長男を総領(そうりょう)というのは鎌倉時代の惣領(そうりょう)相続に基づく呼称であり、イセキ(神奈川県)とよぶのは一跡(いっせき)、つまり親の跡をすべて継承・相続したことによる。長野県のイハイゴ(位牌子)は先祖の祭祀(さいし)を継承する者。九州・四国・中国地方、飛んで東北地方にオヤカタのことばがあるのは、尊敬すべき人というだけでなく労働の指揮者という意味があったとされる。近世には各地とも村々が飽和状態に達して戸数を制限するようになったので、次男以下は分家もできず、オジボウなどとよばれて一生独身のまま肩身の狭い暮らしを強いられ、婿養子に行くか、村を出るよりほかに道はなかった。次男以下をモシカアンニャ(新潟県。長兄が死ねば跡取りになれる者)とか用心子(ゆじんこ)(鹿児島県。万一の場合に備えておく子)などと、ついで者扱いされた。こうして長男の地位は生まれつき不動のものとなり、「総領の甚六」とささやかれながら、家庭内で衣服や食事など他子と格差をつけてだいじに育てられ、村落内でも宮座や若者組など長男だけが加入を許される風習もみられた。[竹田 旦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 第一番目に生まれた男子。親にとっての最初男の子総領息子。長子。
※本朝世紀‐康和五年(1103)一二月二〇日「為章依長男、可縁坐
※太平記(14C後)一一「朝敵の長男にておはすれば」 〔易経‐説卦〕
※霊異記(810‐824)下「長男紀臣馬養は、紀伊の国安諦の郡吉備のの人なり。小男中臣連祖父麿は、同じ国海部の郡浜中の郷の人なり」

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世界大百科事典内の長男の言及

【戸主】より

…改正前の民法旧規定における家族制度の中心的概念で,〈家〉の統率者,支配者。戸主とは,いわゆる家督相続によって得られた地位にほかならないのであり,家督相続は原則として長男の単独相続とされた。戸主の死亡,隠居などによって家督相続が開始されると,長男が新たに戸主となり,その戸主を本とする戸籍が編製された。…

【長子相続】より

…相続者の親との続柄からみた相続形態の一つで,通例男子のうちの長子,すなわち長男が親の財産を相続する形態をいう。長子相続は,未開社会のなかでは父系的傾向のつよい社会,歴史的にはヨーロッパの封建社会に顕著にみられた。…

※「長男」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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