朝日日本歴史人物事典 「松村元綱」の解説
松村元綱
江戸後期の阿蘭陀通詞,蘭学者。通称は安之丞,号は君紀,翠崖。長崎の生まれ。明和期の初め,高階暘谷に古文辞学を学ぶ。西洋の天文,地理,物産学にくわしく,著訳活動は安永~天明年間(1772~89)が顕著で『新増万国地名考』『東西両半球図』『和蘭航海略記』『蛮産諸品訳稿』など。また通詞本木良永 の訳書『和蘭地図略説』『天地二球用法』『太陽距離暦解』等を校訂し,『象眼儀用法』を共訳した。天明2(1782)年薩摩藩主島津重豪に召され,殖産奨励のため博物物産書『成形実録』編纂事業に従事した。寛政4(1792)年ごろ藩校造士館の儒官,翌年『成形図説』と改称したころまで編纂事業に携わっていたという。<参考文献>芳即正『島津重豪』(人物叢書181)
(吉田厚子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報