精選版 日本国語大辞典 「桶伏」の意味・読み・例文・類語
おけ‐ぶせをけ‥【桶伏】
- 〘 名詞 〙 ( 「おけふせ」とも )
- ① 桶をかぶせておくこと。
- [初出の実例]「酒も荒神棚の上に口きり一杯入の徳利と、流もとの桶伏の中に五合樽と」(出典:二人むく助(1891)〈尾崎紅葉〉二)
- ② 江戸初期、遊里で行なわれた私刑の一つ。遊興費が支払えない客に、窓穴のある風呂桶をかぶせて道端に据えて辱しめ、支払いを強制したもの。
- [初出の実例]「揚銭に詰りて、桶ぶせになり」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
- ③ 江戸時代、伊予松山藩で、年貢米不納の賤民に科せられた私刑の一つ。年貢米を納める郷蔵の前で、糞桶を頭からかぶせた。
- ④ 江戸時代、信州下伊那遠山地方で行なわれた私刑の一つ。札つきの悪者を大きな桶を伏せた中に押し込めた。
- ⑤ 江戸時代、大坂堂島の米市場の帳合米商(ちょうあいこめあきない)に際し、大引(おおひけ)のあと、なお売買を続けるものがあると、水方役が退去を促すために、半時ごとに一番、二番、三番と水をまいたが、二番水のとき、場の中央に桶を伏せること。