…江戸時代,多量の米をある地点から他地点に輸送すること,またはその輸送米をいう。年貢米を徴収した幕藩領主は,一部を地払いすることもあったが,大部分を海路で大坂や江戸に回送し販売した(払米(はらいまい))。西日本および日本海沿岸からはおもに大坂に回送され,東海,関東およびそれ以北の太平洋沿岸からは江戸に回送された。…
…長期の保存に耐える籾を用いることが多いので囲籾ともいう。幕府自身の囲米としては,幕初から年貢米の一部が米蔵に蓄えられており,1843年(天保14)には江戸浅草御蔵に14万石のほか小菅,大坂,二条,駿府など合計55万石であった。大名には,1633年(寛永10)以来,城詰米と称して宇都宮,松本,諏訪,膳所藩など要地の譜代大名に幕府米の貯蔵と詰替えを命じている。…
…〈かけまい〉ともいう。年貢米のうち,不足したり損耗した米やもみのこと。転じて,江戸時代には年貢米を輸送する途中で湿気や虫害によって生じた減損分を弁済し補充するために,あらかじめ徴収した付加米のことを指した。…
…初期には,この年貢のなかに治水労働などを中心とする労働や,米以外の雑多な生産物も含まれていたが,米主体の年貢へと変わっていく。この年貢米の換貨,領主層の必要とする諸物資の調達のために商業を営む町人,それに加工業を営む職人たちが,領主の統制に服する諸都市で活動することになる。ここにいう領主層は織田信長の全国統一の試み,豊臣秀吉の統一の過程で,戦国期にみられた武士の在地性が失われ,首都・直轄都市・城下町に居住するものとなる。…
…江戸時代に,年貢米を俵詰めするとき,何斗詰めであっても1升分余分に入れることをいう。領主が納入された年貢俵を調べるさい,かりに4斗詰めであれば,3斗9升までは通常に量るが,最後の1升は升に山盛りでなければ,その分を総俵数に掛けて追納を命じたので,農民はあらかじめ1俵に1升ずつ余分に入れることとしたもの。…
…江戸時代,年貢米に対する付加税の一種。出目米(でめまい)ともいう。…
…江戸時代において年貢米(蔵米)を売り払って換金化する行為,またその売払米を総称する。年貢米の多くは大坂,江戸等の幕府直轄の大都市で換金化された。…
※「年貢米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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